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【ナゼ?】期待と不安が入り混じる『給与のデジタル払い』開始 国が“キャッシュレス決済の比率80%”を将来的に目指す「2つの理由」

2024年9月29日 14:00
【ナゼ?】期待と不安が入り混じる『給与のデジタル払い』開始 国が“キャッシュレス決済の比率80%”を将来的に目指す「2つの理由」
ついに始まった『給与のデジタル払い』とは?

 2024年9月25日、国内初となる『給与のデジタル払い』が始まりました。現金化も可能で、「利便性が高まる」との声も。ただ、独自に行ったアンケートでは、「デジタルマネーで受け取りたくない」が6割超。一体なぜ?課題が残る中、国がキャッシュレス決済を推し進める背景とは…?『読売テレビ』指宿文解説委員の解説です。

■給与のデジタル払いが開始 「選択肢が一つ増えた」その仕組みとは?

 銀行口座に振り込み、または現金で給与を受け取っている方が多いと思いますが、これからは「●●ペイ!」と給与が入ってくるような時代がやって来るかもしれません。

 仕組みとしては、給与の受け取り方法を『デジタル払い』『銀行口座』『現金』の3つから選べるようになります。デジタル払いは一部だけで、銀行口座と併用もできますし、勤務先が対応していれば現金も可能というような形で、「選択肢が一つ増えた」ということです。

■「給与をデジタルマネーで受け取りたくない」は6割超…その主な不安とは?

 ただ、デジタルマネーには様々な不安もあり、いくつかの条件が付けられています。

 一つが、『現金化』できるように、デジタルマネーから自身の銀行口座に移し替えるときは、月1回・手数料なしにすること。そして、保証の関係もあって『保有の上限』があり、厚生労働省が100万円(PayPayは20万円)と定めています。また、『不正出金』された場合は、自身に過失がなければ、損失全額を補償(条件あり)。さらに、デジタルマネーの業者が破綻したら、保証機関から弁済してもらえます。

 このように、「いくつかセーフティーネットや制限を設けて運用していきましょう」というスタートになります。

 『保有の上限』が100万円(PayPayは20万円)になっている理由は、あくまで「貯金ではなく使うため」。国の政策として、「お金を使うものとしてデジタル払いを利用してください」ということがあります。

 506人の方にお答えいただいた番組独自のアンケートでは、不安に思っている方が多いという結果が出ました。給与をデジタルマネーで「受け取りたくない」が66%で、「不正アクセスが心配」「お金のありがたさがなくなる」などが理由として挙げられています。

 一方、「一部受け取りたい」は24%で、「スマホが使えないとき現金が必要だから半々で」という意見も。「全額受け取りたい」は5%で、「チャージする手間が省ける」といった声もありました。

■「すぐに受け取れる」「人出不足の対策にも」デジタル払いのメリット そこには国の裏の意図も…

 そんな中、デジタル払いのメリットについて、金融やキャッシュレス社会に詳しい専門家・佐藤元則氏に伺いました。佐藤氏によると、「デジタルマネーの給与なら、すぐに受け取れたり、銀行口座から引き出す必要もなく、利便性が高まる。受け取りの選択肢が増えると、企業にとっては人手不足などの対策にもなる」ということです。

 「人手不足などの対策」とありましたが、取材した『お菓子つくだ煮大西』大西由美子さんは、「若いアルバイトの子なら給料をすぐに欲しいから、デジタル払いは便利だと思う」と話していました。人手が不足しているところでは、選択肢にデジタル払いがあると一つのPRポイントになるということです。

 私も、子どもには“デジタルお小遣い”です。部活帰りやお出かけでちょっとご飯代などを足したいときに、数百円だけでも手数料なしで送金できるので、すごく便利だと思っています。お金を持たせるという不安は少しありますが、小銭を用意する手間などもなく、何にいくら使ったかを私が把握できるところも含めて、デジタルマネーには良い面もあると思います。

 国もデジタルマネーを推し進めていて、「将来的にはキャッシュレス決済比率80%を目指す」としています。佐藤氏によると、その背景には「マネーロンダリングの防止」や「税収を上げる」など、お金の流れを透明化させたいという裏の意図があるといいます。個人のお金の流れをある程度明らかにすることで、ちゃんと申告してもらい、漏れている税収に繋げたいということです。

■キャッシュレス化には様々な課題も…国にも求められる「お金の透明化」

 一方で、キャッシュレス化にはリスクもあります。今はオフライン決済もありますが、そもそも機械が立ち上がらないと、どうしようもありません。『災害』が起きたら利用できなくなる可能性が高まりますし、大きなイベントなどで『システム障害』が起きる可能性もあります。お金に関わることなので、『情報流出』も心配です。

 そして、事業主にとっては、デジタルマネーの会社に支払う『手数料』も大きな負担となるので、導入に二の足を踏むところも多いと思います。クレジットカードのほうが手数料は少し高いそうですが、事業主も高齢化しているため、取り入れやすさや手間の部分でどうなるかというところです。

 国は「キャッシュレス決済比率80%を目指す」としていますが、一方で国の収入、つまり税収をどう使っているのか、政治でお金をどう使っているのかを、しっかりデジタル化して、ここの透明化も一緒にしなければ納得いかないという国民も多いと思うので、このあたりもしっかり推し進めてほしいと思います。

(「かんさい情報ネットten.」2024年9月25日放送)

最終更新日:2024年9月29日 14:00
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