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【独自解説】「夜中とかガンガン音がする」廃病院が“心霊スポット”化し迷惑行為相次ぐ 住民から不安の声も…長年建物が放置されている理由とは?市も解体できず「現状では法的に対応が困難」

2025年3月27日 23:00
【独自解説】「夜中とかガンガン音がする」廃病院が“心霊スポット”化し迷惑行為相次ぐ 住民から不安の声も…長年建物が放置されている理由とは?市も解体できず「現状では法的に対応が困難」
廃病院が“心霊スポット”に?

 20年近く前に閉院した新潟にある『旧姫川病院』が荒廃し、今、心霊スポットと化しているといいます。建物への無断侵入や迷惑行為が相次ぎ、近隣住民の不安が高まる中、なぜ長年放置されたままなのか?今後の市の対応は―?

■『旧姫川病院』が荒廃し“心霊スポット”化 騒音・不審火・無断侵入…住民からは不安の声「治安的に良くないというか、やっぱり迷惑」

 壮大な北アルプスをのぞむことができる新潟県糸魚川市。大野地区にある『旧姫川病院』は18年前に閉院しましたが、建物は残ったままで、この現状に、周辺住民からは不満の声が続出しているといいます。

(近隣住民)
「肝試しに来て、みんな騒いだり、落書きしたり、一時、テレビとかでも問題になっていたけど、ここもそんな感じ」

(近隣住民)
「夜中とかガンガン音がするのも聞こえているので、『またガラス割ってるなぁ』という感じ。車いすが出ていたり、点滴のガラガラって引くやつが、その辺に投げてあったりとか」

 住民によると、『旧姫川病院』は、県内外から訪れた人が、肝試しなどを行う“心霊スポット”になっているといいます。

 実際にインターネットで検索してみると、『旧姫川病院』を“心霊スポット”と紹介する動画が数多く投稿され、中には無断で侵入して、病室の中を撮影したと見られる動画も…。

 土地の所有者の許可を得て、敷地内に入らせてもらうと、なぜか窓のブラインドにぶら下がっている消火器や、足元には捨てられた酒の空き缶やペットボトル。そして、何者かが侵入した形跡が残されていました。

 さらに、入り口のガラスは完全に破壊され、その内部の廊下と見られる部分には、いすや固定電話のようなものが散乱。壁にも無数の落書きが確認できました。

 こうした問題に向き合ってきた、糸魚川市大野地区の新井春雄元区長は―。

(糸魚川市大野地区・新井春雄元区長)
「切ないわ。姫川病院っていうのは、ものすごく大事な病院でしてね、田舎のほうは病院がないわけだもん。だから、うれしかったね」

 公的な病院がなかった糸魚川地域に、病院の設立を望む市民の声を受け、1987年に設立された『旧姫川病院』。資本金も市民らが出し合ったといいます。しかし2007年、慢性的な医師不足や経営破綻を理由に閉院。20年の歴史に幕を下ろしました。地域医療の支えとなっていた『旧姫川病院』ですが、今となっては残った建物が“心霊スポット”化しています。

 さらに、問題はこれだけに収まらず、4年ほど前には、敷地内で“不審火”が発生し、多くの消防車が駆けつける騒ぎになったといいます。無法地帯の様相を呈している『旧姫川病院』。近隣住民の不安も高まっている中、なぜ放置されたままなのでしょうか。

■市は建物を利活用する予定なし…解体望むも“特定空き家”の認定が必要?『旧姫川病院』は今後どうなる―?

 『旧姫川病院』は閉院から約18年が経過し、多くの住民は、残った建物の改善を求めています。

(糸魚川市大野地区・磯野健一区長)
「(誰も)使わないんなら、もう解体してほしいんですよ。あんな不名誉な建物は。毎年1回ですね、(糸魚川市に)陳情する機会を頂いてるんですわ」

 一方、糸魚川市は『旧姫川病院』の今後について、こう回答しました。

(糸魚川市の回答)
「市は土地・建物の権利者ではないことから、現状では法的に対応が困難であり、現時点では市として、利活用する考えはありません」

(磯野区長)
「どんな形であれ、地域の役に立つようなものになれば、私たちとしてはうれしいですね。なかなか行政も難しいんでしょうけど、行政にしかできないと思っているんですよね」

 この建物の所有者は『糸魚川医療生活協同組合』ですが、現在、法人が解散しているため、所有者は不明となっています。また土地に関して、所有者は5~6人いるという話もあります。

 では潰れて廃虚になった所に侵入するのは罪になるのでしょうか?

 亀井正貴弁護士によると「『人が住んでいる』または『管理者がいる建物へ侵入』した場合『不法侵入』に当たるが、今回は管理者がいないようなので『不法侵入』には当たらない可能性がある。しかし、建物に“潜む”などの行為が『軽犯罪法違反』に当たる可能性は高い」と話しています。

 “保安上の問題”について、磯野区長によると「色々な人がガラスを割って建物内に入り、銅線などを持ち帰ったり、屋上で花火をしたり…近所の人も不安に思っている」として、“所有者不明”については「警察にパトロール強化をお願いし、中に入っている人を捕まえたこともあると聞いたが、被害届が上がってこず、警察としてはそれ以上踏み込めない」とのこと。

 さらに“行政の対応”については、「病院の建物は道路から離れているので、崩壊して道路に落ちるなど、害を与えることもないため、手が出せないんじゃないか」と推測されています。

 そして行政の対応ですが、市の担当者によると、「『旧姫川病院』は鉄筋コンクリート造りであること、周りに人家等がないことから、倒壊等、著しく保安上危険となる恐れのある状態にないと判断しており、行政が所有者に代わって取り壊し等を行うことは考えておりません」とのことです。

 “行政代執行”が行われるには、法律上、“特定空き家”に認定される必要があります。『解体』と『撤去』の2つの種類があり、所有者が分かっている場合は“行政代執行”となり、全て費用は空き家の所有者などが負担します。

 一方で、所有者が特定できない場合は“略式代執行”となり、行政がまず費用を負担するものの、執行後に所有者が分かった場合は、請求することができるといいます。

 “代執行”を行うための“特定空き家”認定の条件とは―?

➀そのまま放置すれば倒壊等、著しく保安上危険となる恐れのある状態。
②適切な管理が行われていないことにより、著しく景観を損なっている状態。
③そのまま放置すれば、著しく経営上有害となるおそれのある状態。
④その他、周辺の生活環境の保全を図るために、放置することが不適切である状態
となっています。

Q.これは“行政代執行”は今のところ出来ないということなんでしょうか?
(本村健太郎弁護士)
「優先順位の問題もあると思います。今、全国の自治体でものすごく空き家が増えていて、そういう空き家を、特別措置法に従って、“特定空き家”と認定して順次、“行政代執行”を行っている。どれから先にやるべきか優先順位をつけて、本当に壊れそうな非常に危険なものを優先しているので、この病院が後回しになっている可能性もあるかなと。あとは税金を使いますから、これだけ巨大なものを壊すとなると、相当の費用がかかって、それを税金で負担するということについて、どうするべきかという議論がある」

(「情報ライブミヤネ屋」2025年3月10日放送)

最終更新日:2025年3月27日 23:00
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