【独自解説】「なぜ私たちが犠牲に…?」“東洋一のマンモス団地”に再整備の動き 板橋区が押し切るタワマン建設・新たな道路整備に住民ら怒り…危惧する“3つの懸念”「実は日照権はあまり保護されない」

かつて“東洋一”とも呼ばれた東京・板橋区の『高島平団地』に再整備案が浮上し、周辺住民の間で困惑の声が広がっています。住民らが懸念する3つの不安要素とは?板橋区が描く未来とは?弁護士・嵩原安三郎氏と哲学者・萱野稔人氏のダブル解説です。
■「持続可能な都市への転換が必要」“東洋一のマンモス団地”現状と課題
1966年に区画整理事業が開始し、現在のUR都市機構が施工した『高島平団地』。1972年に入居が開始され、ピーク時には3万人超が住む“東洋一のマンモス団地”と呼ばれました。現在の人口は約1万8000人にまで減少しましたが、まだ大きなコミュニティは存在しています。
そんな高島平団地に、再整備を巡る動きが。2015年ごろに再整備案が浮上し、2024年に高島平駅の将来像を決める『まちづくりプラン』が策定されました。
再整備の理由について、東京・板橋区まちづくり推進課の担当者によると、「建物の老朽化や少子高齢化が進み、公共施設やUR賃貸住宅等の建て替え時期が到来している。50年・100年先を見据えた、持続可能な都市へと転換していくことが必要と判断し、高島平地域の都市再生に着手した」ということです。
高島平団地は、1972年の入居開始後に人口が急増し、学校などを急速で整備することになりましたが、団地で育った子どもたちが独立し、転出。現在でも親世代は住み続けていますが、住民の約4割が高齢者という状況です。
■『住民の懸念』①タワマン建設のため、建物の高さ制限を緩和…景観や日照権の問題は?「実は日照権はあまり保護されない」
高島平には現在、分譲エリア・賃貸エリア・学校・公園などがあり、駅と団地の間は緑地化されています。分譲エリアの隣には2007年に閉校した小学校があり、区の計画としては、その小学校と周りの土地を使ってタワーマンションを建設する予定で、来年度には解体が始まるということです。また、賃貸エリアの一部は建て替えを検討しています。