【年金密着】「年寄りも甘えたらあかん」年金は月6万円、家賃は月7万円 熟年離婚を経て、今はアルバイトで支える苦しい日々…それでも「僕は幸せです!」と終始笑顔のワケ
2024年6月14日(金)は、2か月に1度の年金支給日。今回の支給分から増額し、喜びの声が聞こえる一方で、苦しい生活を送る人も…。『ミヤネ屋』は、大阪市内で出会った年金受給者・伊藤さん(73)を密着取材。厳しい生活、これまでの人生、そして“ある想い”とは―?
衣類から骨董品まで、衝動買いした品々で溢れる家賃7万円の家で一人暮らし…収入は年金とアルバイト代の十数万円、それでも笑顔で日々を過ごす男性に密着
『ミヤネ屋』スタッフが大阪市内で出会ったのは、苦しい年金生活を送っているという伊藤さん(73)。受給額を聞いてみると…。
(伊藤さん)
「2か月分で、10何万円かな」
Q.1か月で言うと?
(伊藤さん)
「6万円ぐらい。厚生年金。定年まで、いなかったからね」
現在、家賃7万円ほどの自宅で、一人暮らしをしているといいます。
Q.何年住んでいるんですか?
(伊藤さん)
「9年目かな。10年やな、もう」
自宅を見せてくれることになったのですが、ベッドや家電が置かれた部屋の隣には、服や帽子・カバンなど、あらゆるもので埋め尽くされた一室が…。
Q.物の数が、すごく多いですね…。
(伊藤さん)
「そうそう、ほとんど物ですよ」
Q.奥には、服がズラッと並んでいますね?
(伊藤さん)
「昔、着ていた服です。冬物はコートとかレザーとか、昔のやからね、全部、吊って置いています」
Q.あとは帽子やカバンですか?
(伊藤さん)
「うん。あと、レコードや本」
Q.なぜ、こんな状況に?
(伊藤さん)
「アンティークショップとかフリーマーケットとか、そういう所で値段が安かったり好きな物があったりしたら、買ってしまうんですよ(笑)」
Q.なんで望遠鏡があるんですか?
(伊藤さん)
「知り合いのお店で売っていたんです。その店が、めっちゃ安いんですよ。今年の夏はキャンピングカーで山に行って、この望遠鏡で星を見るつもり」
Q.これは何ですか?
(伊藤さん)
「これは、流木みたいなもん」
Q.みたいなもん…?
(伊藤さん)
「これね、花生けに使うんです。めっちゃ高いんですよ!」
次に見せてくれたのは、ケースに入れられた三味線。
(伊藤さん)
「これは三味線。三味線の師匠がいるんですけど、『もう使わない』って僕にくれたんです」
Q.じゃあ弾けるんですか?
(伊藤さん)
「今、勉強中。“七十の手習い”、ははははっ(笑)」
昔から愛用している衣類に加え、大好きな骨董品や衝動買いによる品々が次第に増えていき、気付けば部屋を埋め尽くす事態に…。現在も、部屋の物は増え続けているといいます。
Q.大掃除しようという気は…?
(伊藤さん)
「気は、あるんですよ。一生懸命、時間をかけて探した物やから、マニアでも何でも良いんだけど、品物の良さがわかる人やったら、僕はタダであげてもいいと思っている」
若い頃は年金のことなど考えず、結婚後は懸命に家族を支えたものの、まさかの熟年離婚…収入ダウンで厳しい生活も「僕は幸せです!」と言い切れるワケ
18歳で上京し、バーテンダーなど夜の街で働いていた伊藤さん。当時は、年金のことなど考えておらず、保険料を支払っていなかったといいます。
生活が変わったのは、30歳の頃。年の離れた女性と結婚し、義理の父が経営する会社で、営業マンとして働けることに。その頃から年金の保険料を納め始め、約30年間、懸命に家族を支えてきました。
しかし、10年前…。
定年を目前に、長年連れ添った妻と離婚。その後、会社も退職することとなり、月の収入は年金(約6万円)とアルバイト代(約10万円)の十数万円ほどに。家賃や食費・生活費に充てると、手元にはほとんど残らないといいます。
(伊藤さん)
「欲を言えばキリがないですよ、お金も健康も。でも今のところは、欲を別にして、全然ストレスはない。悟りを開いているわけじゃないけどね、僕は幸せです!」
苦しい生活の中でも“好きなものに囲まれる幸せ”を実感し、終始笑顔の伊藤さんです。
「年寄りも甘えたらあかんわ」不用品は売り、無理のない範囲で働き、喫茶店の“モーニング”で至福の時を過ごす…ささやかな幸せと共に前向きに生きる伊藤さん
この日、向かったのは、行きつけのリサイクルショップ。少しでも生活の足しになればと、部屋にあった物を売りに来ました。
(伊藤さん)
「ジューサー。こういう家庭用品は、もう用がないから(笑)」
売りに来たのは、4000円で買ったというハンドジューサー。自宅で料理をほとんどしないという伊藤さんにとっては、必要ないと気づいたそうです。
査定が終わるまで、リサイクルショップのオーナーに伊藤さんの人柄を聞いてみると…。
(リサイクルショップのオーナー)
「すごく楽しい方ですよ」
(伊藤さん)
「もっと言うて(笑)」
(リサイクルショップのオーナー)
「楽しいの塊!うふふふ(笑)骨董品とかに詳しいので、伊藤さんから学ぶことがたくさんあります。お勉強させていただいています~」
(伊藤さん)
「ダメ、そんなこと言うたら!来にくい(笑)」
と、ここで査定が終了!果たして、おいくらに―!?
伊藤さんの手には、500円玉が1枚…。
(伊藤さん)
「ワンコイン!」
Q.伊藤さん的には「OK」という感じですか?
(伊藤さん)
「OKです。僕は、うどんが食えたらいいんですよ。ははははっ(笑)」
そして、待ちに待った年金支給日。当日は、毎朝通っているという喫茶店で、優雅にコーヒーを飲んでいました。
Q.この店に何年通っているんですか?
(伊藤さん)
「10年。日曜日以外は、午前中は大体ここにいます」
注文したのは、10年間ほぼ毎朝注文している『モーニングセット』。年金支給日であっても、この“至福のひと時”は欠かせません。
喫茶店を後にし、愛用の自転車にまたがって、いよいよ銀行へ!
Q.年金、入っていましたか?
(伊藤さん)
「入っていました、間違いなく!」
Q.年金は、何に充てるんですか?
(伊藤さん)
「家賃とか、その支払い。僕はまだ病気もないし、体が元気やから、アルバイトもできます。だから、年寄りも甘えたらあかんわ。毎日は無理にしても、週に2日のシフトとか、ありますやんか。そういうシニアの仕事が増えたら良いと思います」
(「情報ライブ ミヤネ屋」2024年6月17日放送)