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【裁判のポイント解説】紀州のドン・ファン殺害「覚醒剤の入手経路」「検索履歴」「覚醒剤の摂取時間」

2024年9月12日 18:58
【裁判のポイント解説】紀州のドン・ファン殺害「覚醒剤の入手経路」「検索履歴」「覚醒剤の摂取時間」

 須藤早貴被告の初公判を12日迎えました。2人は特殊な関係だったという説明が、弁護側、そして検察側、双方からなされています。
 検察側はその中でも、初対面なのに100万円を渡していたり、入籍する条件として、自宅のある田辺市に住まないことを念押しするなど、特殊な関係性であったこと、そうした中で起きた事件であることを改めて確認しました。

 一方で、弁護側は、そうした特殊な関係性であることから、裁判員に先入観を持つことなく判断してほしいということを暗に訴えていたとみられますが、検察側は、12日、3つの状況証拠を示しました。

 そのうちの1つが「覚醒剤の入手経路」です。
 事件の約2か月前に、早貴被告が密売サイトで少なくとも3グラム以上の覚醒剤を注文し、翌日に和歌山県内で密売サイト関係者と接触、十数万円を支払って覚醒剤と思われるものを入手していたことが明らかになったということです。

 2つ目です。「ネットでの検索履歴」というのが、多数示されました。

 「完全犯罪」「老人 死亡」「覚醒剤 過剰摂取」といったワードが並びます。
 事件後には「覚醒剤の検挙率」「殺人罪の時効」といった、いわゆる方法から結果、今後といったワードに推移しているようにみられるような言葉が多数並んでいるんですが、ここで再び中継をつなげます。

 きょうの裁判で、有罪の認定につながるような証拠というのはあったんでしょうか?

(澤井耀平 記者)
 12日の冒頭陳述で示された検察側の状況証拠は「結局どのようにして野崎さんに致死量の覚醒剤を飲ませたのか」については、“口から飲ませた”という表現に留めたままで、12日の裁判でも乏しかったです。

 だからこそ、膨大な検索履歴を提示して、覚醒剤を飲ませたのが須藤被告しかいないと思わせるような証拠を検察が積み上げているように感じました。

 こうした状況証拠が今後も積み重ねられることになると思いますので、裁判員は、検察が3年以上かけて集めてきた、こうした多くの状況証拠から有罪か無罪かを判断することになると思います。

(中谷しのぶキャスター)
 3つ目のポイントがこちら。
 「覚醒剤の摂取時間」ということなんですが、今日明らかになったこととして、午後6時ごろに野崎さんが防犯カメラに家を出入りする姿が映っていたということが明らかになっています。
 
 覚醒剤を摂取する方法として、カプセルを使用した場合、最長1時間10分で体に異変が起きると。ですので、逆算すると、4時50分ごろから8時ごろの間に覚醒剤を接種したのではないかとみられるということが新たに分かったんですが、この間、須藤被告と野崎さんはおよそ5時間2人きりでした。

 この時間帯に、須藤被告は少なくとも8回、野崎さんのいる2階に上がっていたということで、2人きりだったということが改めて示されたわけなんですが、澤井さん、この摂取時間で何が立証できるんでしょうか?

(澤井耀平 記者)
 2人きりの時間と犯行時間帯が同じであったことは、検察の主張の中では一番大きな状況証拠となっていると感じます。
 つまり、須藤被告以外に犯行に及べた者がいないとする証拠になりまして、検察の主張の中で、犯人がそもそも須藤早貴被告であること、これが殺人であること、これが並列で争点になっているのはこういうことだと考えられます。

 だからこそ、弁護側は本当にこれが殺人事件なのかというところを主張して、無罪を主張しています。
 検察は、野崎さんの死は自殺や事故死とは考え難いことと表現しており、直接的な証拠がない中、ここまでしか検察も主張できないという立証の難しさが垣間見えます。

(横須賀ゆきの解説委員)
 いわゆるカプセルだと仮定して、司法解剖で、胃の中に具体的に何があるのか、そこから飲ませたと立証できるものが今後出てくるのか、ここもポイントの一つになってくると思います。

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