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【解説】吉村洋文氏『維新』代表と大阪府知事の“二刀流”に挑戦 2024年衆院選では“議席減” 万博・参院選控え…求められる『党の立て直し』そして3度目の“大阪都構想”挑戦は?

2025年1月3日 10:00
【解説】吉村洋文氏『維新』代表と大阪府知事の“二刀流”に挑戦 2024年衆院選では“議席減” 万博・参院選控え…求められる『党の立て直し』そして3度目の“大阪都構想”挑戦は?
「日本維新の会」代表選への出馬表明会見を開いた吉村洋文氏(2024年11月12日)

 2024年10月の衆院選で議席を減らす結果となった『日本維新の会』…2024年12月に代表選を行い、大阪府知事の吉村洋文氏が新代表に選出された。2025年は万博や参院選など多忙が予想されるなか、大阪府知事と党代表の「二刀流」は、功を奏するのか?

■他党からは「維新はバケモノ」との声も…党内では強い危機感 「国政政党として消滅しかねない」吉村氏が二刀流を決意

 年の瀬が近づく12月14日に開かれた公明党大阪府本部の大会。先の衆院選の結果について、出席した党関係者は「認めたくないけど、維新はバケモノで、ここ大阪では最強。今のうちに手を打たないといけない」と厳しい表情で選挙戦を振り返った。

 先の衆院選、「日本維新の会」は、これまで「公明党」が長年議席を獲得してきた大阪の4小選挙区に初めて候補者を擁立、大阪では19の小選挙区全てで勝利を収めた。この結果を受け、「自民党」は、自身も落選した谷川とむ前衆院議員が府連会長を辞任。大阪では維新が他党を寄せ付けない強さを見せた。

 しかし、全国的に見ると、維新は比例票を約300万票も減らし、公示前の44議席から議席を6つ失うことに。当時、共同代表だった吉村氏は、「野党の中では"ひとり負け"」「国政政党として消滅しかねないという危機感がある」などと話し、代表選への出馬を決意。12月1日に行われた代表選では有効投票数の約8割の票を固めて新代表に選出された。

 その前に行われた地域政党「大阪維新の会」の代表選でも吉村氏が再選を果たし、公約として、かつての看板政策で過去に2度、住民投票で否決された「大阪都構想」について言及。「3度目への挑戦を宣言するものではない」とした上で、党内部の案として、「大阪都構想の制度案をもう一度考えたい」と表明した。

 吉村氏に近い国会議員や大阪府議会議員からは「ついにこの時が来た」「(吉村氏が)日本維新の会の代表選への出馬を決めたときに顔つきが変わった。“都構想”を掲げて、党内をまとめていかないといけないと思ったのかなと感じた」などと歓迎する声が相次いだ。

 一方、公明党の関係者は、「まだやるんですかという感じ。『僕自身がもう挑戦することはない』と言っていたのに、『なんかやらないかん』という理由だけで掲げているのだろう。『3回目の宣言をしたわけではない』というのも、意味が分からないし、ずるい」と突き放すように語った。

■党幹部には若手を積極起用「永田町文化を変える」と意気込むが…党内からは「他党から相手にされなくなる」との冷ややかな声で足並みは揃わず

 吉村新体制の共同代表には民主党政権時に、国土交通相や外務相などを歴任し、衆院選直前に維新に合流した前原誠司氏が就任。一方、党三役には、幹事長に岩谷良平氏、政調会長に青柳仁士氏、総務会長に阿部司氏といずれも40代で当選2回の若手を起用した。

 若手の起用について、吉村代表は「野党でぶつかっていく立場なので新しい価値観を永田町にぶつけてほしい」と話す。

 吉村代表は代表選でも、永田町の“国対政治”や“飲み食い政治”を痛烈に批判。「民間では考えられないような永田町の価値観、古い慣習をぶっ壊していきたい。永田町の飲み食い政治も無しです。あんなことやっても新しいものは生まれない」として、党の「パーパス(目的)」の1つに「永田町文化を変える」ことを掲げた。

 しかし、党内の足並みは揃っていない。馬場前代表に近い国会議員からは「(吉村氏は)国会を分かっていない。大阪府議会や大阪市議会と違って、野党第二党の維新が、国会で存在感を出していくのがどれほど大変なことか。『永田町を変える』と意気込んでいるが、他党から相手にされなくなるだけだ」と、冷ややかな声も聞こえている。

 2025年は4月から半年間、『大阪・関西万博』が開催され、夏には参院選も控えている。大阪府知事としての職務も行いながら、代表として党内をまとめ、これまで長年の課題だった「脱大阪」を果たすことができるのか。吉村氏の手腕に注目が集まっている。

最終更新日:2025年1月3日 10:00
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