農水相「胃に穴が開くぐらい悩んだ」政府備蓄米、“異例”の約21万トン放出へ コメ価格は下がるか?
農林水産省は14日、「政府備蓄米」を約21万トン放出することを正式に発表しました。
江藤拓農水相
「すごく悩みました。胃に穴が開くぐらい悩みました。(備蓄米の)販売数量は、21万トン」
14日、ついに概要が発表された「政府備蓄米」の放出。
江藤拓農水相
「(備蓄米を)おにぎりにして食べました。食味的にも香り的にも十分な品質を保っている」
令和のコメ騒動から半年、ようやく動き出した政府に対し、街の人々は…。
「お高いわね~。ずいぶんお高くなってるわね。安心して買える、そんな感じがいいわ。(価格が)下がるとは思わないけどね」
「同じ価格で売るんじゃないのかなと思っています。今の価格で」
(Q:期待は?)
「してません!」
今日、取材班が訪れたのは大阪府内の倉庫。そこにあったのは…。
倉庫管理者
「全体で役3000トンの備蓄米を保管しています」
この倉庫では、主に滋賀県や福井県のコメを最長5年間保管しています。
瀧本怜佳記者
「倉庫の中の温度は15度以下、湿度は60%から65%で保たれています」
さらに…
倉庫管理者
「月1回コメの水分を測って、水分飛んでいないか確認している」
厳格な管理のもと、品質は保たれているといいます。
備蓄米の活用はこれまで凶作や災害で供給量が大幅に減った時のみとされていましたが、制度を変えてまで政府が放出を決めた背景には…。
江藤拓・農水相
「すごく悩みました。胃に穴が開くぐらい悩みました。このままの状態を放置すれば主食であるコメがマネーゲーム投機の対象になってしまうかもしれない。これは決してよくない」
農水省は、昨年のコメの生産量は前年より多いと見込んでいますが、実際に市場に出回っているコメは前年よりも21万トン少ないといいます。
一部の業者などが在庫を抱え、“売り時を探っている”可能性が指摘されている、消えた21万トンのコメ。その量、茶わんにして約32億杯分です。
消えたコメの行方を調査するとともに、コメの流通を円滑化させるため、農水省はついに、この日、備蓄米の放出を正式に発表しました。
街の人はどう受け止めたのでしょうか?
70代女性
「全部備蓄米がわたしたちのところに届くのか不安」
80代女性
「(価格が)下がるとは思わないけれどね、だけれども、やっぱりそうねぇ、私たちが買いやすい値段、それが一番の望み」
消費者からは、不安の声が。一方、店側は…。
フレッシュマーケットアオイ昭和町店 石川一隆店長
「本当に備蓄米を出していただいて、ちょっとでもいいので価格が下がって、まず安定した価格で客の手元にいく形になればいいなと」
そして、コメ農家からは複雑な声も。
コメ農家・松井栄作さん
「(コメの小売価格が)下がるに越したことはないと思うが、大幅に下がってしまうと、コストのを考えても、採算の合わないような値段まで下がってしまうと、全農家に影響してくる」
コメ作りに必要な機械や肥料などはここ数年で130%以上に値上がり。備蓄米の放出が農家の収入にさらに追い打ちをかけるのではないかと不安を抱えています。
様々な思いが交錯する「備蓄米の放出」。私たちの暮らしに直結するコメの価格はどうなるのでしょうか?専門家は…。
コメの流通に詳しい 宇都宮大学・小川 真如助教
「少なくとも、今の高値よりも大きく上がることはなくて、下がっていく方向に進むと思います。ポイントは、売り渋ってる業者や個人がコメを出すかどうか。危機感をもって一気に出してくるということになれば、 今日のうち、即日にも下がる可能性がある」