病院内の「歯ブラシ」使った“殺人”隠ぺいか 理事長と当時の主治医を逮捕 診断書の死因「肺炎」と… 青森・八戸市
2023年、青森県八戸市の病院で、凶器に「歯ブラシ」を使った殺人事件を隠ぺいしたとして、警察は医療法人の理事長と当時の主治医の男を逮捕しました。病院が作成した死亡診断書では、死因が「肺炎」と記載されていました。
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青森県八戸市にある「みちのく記念病院」。事件のあった日、夜勤の看護師が目にしたのは、顔面血だらけの状態でベッドに横たわった患者です。すぐに駆けつけた看護師が「殴られた? 痛い?」と聞くと、男性患者は「うん」と答えました。
看護師は応急処置を始めました。その病室の別のベッドに1人座る男がいましたが、同じ病室の患者でした。看護師が「なんでこうなったの」と問いかけると、その男は「歯ブラシでめたくそに刺した」と答えたといいます。
血を流していた男性は、その後、亡くなりました。
みちのく記念病院に入院していた高橋生悦さんが殺害された事件は、2023年3月に起きました。同じ病室に入院していた佐々木人志受刑者は、高橋さんを歯ブラシで刺すなどして殺害。懲役17年の実刑判決が言い渡されました。
しかし、事件は、これだけではありませんでした。
14日、逮捕されたのは病院の理事長ら2人。警察によると病院側は当初、今回の殺人事件を隠ぺいしようとしていたとみられているのです。根拠は、主に2つ。1つは、高橋さんの死亡診断書。死因の欄には「肺炎」と書かれています。
歯ブラシなどで刺された高橋さんの本当の死因は「頭蓋内損傷」及び「失血」。なぜ「肺炎」と書かれたのか?
もう1つの根拠は、通報です。当時、事件が起きていることを看護師が確認していたにもかかわらず、病院側からの正式な通報はなかったといいます。
発覚したのは、高橋さんが死亡した8時間ほど後のこと。それも、内部関係者による通報でした。
病院側が事件を隠そうとした疑いがあるとして、捜査を進めていた警察は14日、病院の理事長の自宅へ。捜査員が、理事長の石山隆容疑者に自宅で話を聞くこと数分。捜査員らとともに、石山隆容疑者が家から出て車両へと乗り込みました。
もう1人、理事長の弟にあたる医師の石山哲容疑者も、捜査員とともに警察署へ。亡くなった高橋さんの主治医だった男です。
警察は、この兄弟が共謀して殺人事件を隠そうとしたとして、14日に逮捕に踏み切りました。2人の動機などを調べる方針です。