【会見一問一答②古巣に苦言】CMに甚大な影響、差し替え30社超「憂慮」フジ元専務の関西テレビ社長「懇親会と性の上納は別次元」社員も質問「性接待ないと断言できるのか?」「今後のテレビ制作の一番大切な局面、しっかり調べてほしい」
中居正広さんと女性のトラブルをめぐり、当時フジテレビで編成担当の専務を務めていた関西テレビの大多亮社長が、22日に記者会見を行いました。
一連の問題への対応をめぐり、フジテレビに対し、多くのスポンサー企業がCMの差し替えを決めるなど、厳しい目が向けられる中、“当事者”でもある大多社長が語ったこととは―。
一問一答形式で記者会見の詳細をお伝えします(①から続く)。
Q: 一連の調査の中でフジテレビ社員の関与の有無という情報は?
(大多社長)
これは本当に、これからいろんな調査委員会どういう形になるか分かりませんけども、相当いろいろ聞いていく中で出てくることだと思います。
私は本当に、関与というものがどこまでかというのは、正直言ってこれから調査されていくことだと思います。いわゆる懇親会とか食事会の中に、この案件も一つあるのかもしれない。
ただそれが、今回のような性の上納、というようなことだとは報告されてないし、そういうふうに認識していませんでした。そういった性の上納云々というのは別にフジテレビの社員が、食事会のセッティングとか、そういったことを行ったという事実は確かにできたわけですよね、一緒に飲んだんだろうなとか、というようなことは。もちろん何人でいつどこでというのは知りません。そこまでは私は聞いておりません。
だけども、そういうことがあったんだろうなというふうには思います。そういう会食があったんだろうなとは思いますけども。
Q:それが今回のような被害につながったとかそういった認識はないわけですか?
(大多社長)
さっきも言いましたけど、懇親会と性の上納は全く別次元であり、全く関係ないというか、それも違うと思いますね、私は。だから今回のことがそうではないというふうに私は思うし、願っています。
Q:当該の女性と中居さんの会食というのをフジテレビの社員が設定したとしても、それは特に問題としては捉えていない?
(大多社長)
会食だけであればもちろん。会食したらイコール、トラブルにつながるというのは、ちょっと飛躍的かなとは思いますけど。
これが、最初から性の上納を目的としたのかどうかということは、私はないと思いますが、普通の会食であったというふうに思いましたし。
ホームページでフジテレビが「この件に関して、社員は関与していません」と出しているわけですよね。フジテレビ社員はいろいろ調べたというふうに港社長の会見でおっしゃってましたけども、いろいろ調べてこの件に関してはなかったというのは、通信記録とか話が出てましたけども、それをきちっと調べられたと思います。この件に関しては、なかったと。
Q:聞きたいのは、当日ではなく被害者の女性と中居さんとの接点になるような会食というのに、フジテレビ社員が関わっていたということは確認できたか?
(大多社長)
私は聞いておりませんでした。
Q:フジテレビ社員が関わったかもしれないという情報が社内外からもたらされたことは?
(大多社長)
ないです。
Q:一部週刊誌の報道が出るまでは全く関わっていると思っていなかった?
(大多社長)
私は知りませんでした。
Q:大多社長は当時、フジテレビの専務取締役の立場で、この事案に対してどのような役割を持って関わられたのか?
(大多社長)
この案件が上がってからは、とにかくこの女性のケアを最優先するようにという指示。それから、どうやって番組をどういう形で終わらせるか、ランディングしていくかというようなこと。基本的にはこの二つです。
彼女の状況とかコンディションに関しては、逐次上がっている部分も当時ありましたので、それは聞いておりました。その辺のことを判断しながらというのを本当に少ない人数でやっていた。
Q:大多さんはイニシアチブを持ってこの事案に最も責任を持って当たる立場だったのか? それとも社長だったのか?
(大多社長)
そういう意味では、私は編成担当の専務でしたから、この事案では私が何人かで、編成の幹部と話し合いながら港社長とも話をして決めていくという立場にありました。ですから、誰が一番責任かと言われてもあれですけども、そういう中にいたことは事実です。
Q:中居氏がかかわる番組の継続や打ち切りに関して、大多さんの判断で継続や打ち切りができる立場にあったのか?
(大多社長)
そうだと言えばそうですし、そこは限られた人数の中で、知っているのは本当に少なかったですし、その少ない中で少なくとも港社長もいますので、その中で判断していた。最終判断は港社長であり私であればできたということはあるかもしれませんけど、やめるという判断はしなかったということです。
Q:今回、記者会の主催の会見でオープンな形。17日のフジの会見は「閉鎖的」と批判があるが?
(大多社長)
私はフジテレビにも長くいましたし、今は関西テレビではありますけども、当然こういう案件の記者会見ですから、フジテレビは考えてああいう形の会見をしたというふうに思いますので、本当に申し訳ないですけど、私の今の立場でどうこうというのは本当にちょっと言いづらい。さっき言ったように、しっかり調査するということをテーマに述べられたんだというふうに思いました。
Q:今回の会見はこういうようなオープンな形にしたのは?
(大多社長)
これはもうカンテレとして、この定例の記者会見の中に当然、たくさんの皆さんご質問があると思ったので、カンテレとしてはこういう形で、個社として判断した。
Q:当時、港社長に事案を報告するとき、どんなリアクションだった?
(大多社長)
私はここでいろいろ話すのは港社長がどう思うか分からないので、ちょっと述べていいのかよく分かりませんけども、ものすごい苦渋の顔をされてました。
その時に港社長からも一番お話になったというか、指示として出たのは『彼女の心と健康を最優先にしなさい』というのはよく覚えています。
Q:そもそも(大多社長は)女性ご本人からはお話は聞いた?
(大多社長)
私は直接聞いていないです。限定された社員を介して。
Q:女性はどうしてほしいと話していた?
(大多社長)
「できる限り知られないで仕事をしたい」と。
Q:例を挙げるのは申し訳ないが、例えば(ダウンタウン)松本さんが休業されたタイミングでも終わらせることができたのでは?
(大多社長)
要するに、ここだったらタイミングがあったんじゃないかということですよね。
私も、おそらく港社長も、いつ終わらせることができるかというのを思っていたわけですから、タイミングはあっただろうと。全て彼女を優先してということを言い訳にしたいわけではないんですよ。
だけど本当に、彼女がいい形になって、言葉が難しいですけど、ソフトランディングさせるという一番いい道を探っていて、こうなったと。ですので、ここもあったじゃないか、あそこのタイミングもあったじゃないか、というご指摘は本当によくわかるんですが、そうしなかった。
なので、もっと早くできたというタイミングがあるんだったら、なぜそうしなかったんだということに関しては、本当にどうしたらよかったのかなと、ずっと思っています。あそこでやめとけばよかったじゃないか、というようなことも含めて、ご指摘のことはわかるんですけども。
Q:芸能界に大きな影響に対する中居氏に対する忖度があったのではないか?
(大多社長)
私はないです。
Q:一切なかった?
(大多社長)
はい。
Q:示談のことはご存じなかった? どこまで把握していた?
(大多社長)
フジテレビの方でもそのあたりの時系列に関してはほとんど話をしていないので、ちょっと話しづらいですけど、私の耳にも『示談をするのかもしれない』というような情報的なものはは入ってましたが、正式には聞いてないです。その後、もうこちら(関西テレビ)に来てしまってますので。
Q:示談金が9000万円という報道が出ているのが、もし事実なのであればという前提だが、何らかの形で公表するのが一般的な対応では?
(大多社長)
示談金の9000万とかっていうのは私は全く知らないですけども、2人の間で示談が成立したからと言って、どこに公表をするのか。
会社の中でこういうことがあったからというので公表するっていうのは、この内容ではできないっていうのが私は普通だと思いますし、必要はないというふうに、この件に関しては思います。
Q:今回の件で御社もCM差し替えが30社以上。全国的に系列局の中で大きな影響が出始めているが?
(大多社長)
もちろん憂慮してます。憂慮してるだけに、フジテレビにきちっと調査をしてほしいと言ったのはそういう意味ですし、(調査が)早く進んでどういう形になっていくのが一番いいのかというようなことも出てこないと、やはり我々、フジテレビ以外のFNS系列からすれば、早くいろんなことが分かって、『フジがこうなる』ってことが出ないと。
早くしっかりとした調査をして、カンテレがいま関係がないのにこうやってスポンサーの方が離れてるわけですからね、フジには早く進めてほしい。
Q:カンテレとしても苦言を呈していくと?
(大多社長)
もちろんです。やはり会社対会社ですから、フジテレビのガバナンスであるとか対応であるとか、先ほどから質問が出ていますけども『隠してたんじゃないか』とか、そういうようなことが払拭される、もしくはその説明がされないとダメなんじゃないか。
(中略)
Q:今回、会見するにあたって、関西テレビの社員には?
(大多社長)
私から直接は社員の皆様には言ってませんが、取締役・役員・局長を通して、関西テレビの社員・スタッフには届くように、話はしております。今回のこの会見の模様も、もし見れる環境があるならばこれ(記者会見)を見ていただくのが一番、社員の皆様にいいと思いますので、そういうような指示もしました。
(中略)
Q:関西テレビの人間ですが、報道部門として伺う。一連の問題で、フジのなかで会社で立場の高い人物がタレントや芸能人と関係を築くために立場の弱い女性を利用して最終的に性接待をしたのではと、日本全体で疑念の目を持たれているのではと考えている。大多社長はこれまで重責を担われて、立場のある人が弱い女性を利用して、「芸能人に性接待は行われていない」といえるのか。「何十年にわたってなかった」と自信をもって断言できるのか。調査委員会に調査は委ねるのか?
(大多社長)
私が知る限りでの性接待、上納、献上というものは私は聞いたことはない。だけどもこういう今の状況を考えると、調査委員会に逃げるわけではないが、調査委員会に調べてもらって、他にも何かあったのかどうか、今こそ調べてもらうことが今後のテレビの制作を含めた今一番大切な局面だと思っているので、しっかり調べて欲しいと思う。
Q:関西テレビの社長として伺う。一系列の社員だが、不安に思っている社員もいる。フジテレビに対してどのように向き合うのか。
(大多社長)
繰り返しになるが、まずは調べて、至らないところがあるならば改めることを強く求めたい。それ以上でも以下でもなくて、そこが一番大事だと思います。
記者会見は約2時間10分にわたって行われ、テレビ局・新聞社・スポーツ紙の記者などが参加し、テレビカメラでの撮影も許可されました。
■フジテレビは27日にオープンな形での会見を予定
フジ・メディア・ホールディングスは23日に臨時取締役会を開き、一連の問題について、日弁連=日本弁護士連合会のガイドラインに沿った形の独立した第三者委員会を設置し検証を行うと発表。
フジテレビは、27日月曜日に改めて、オープンな形で会見を開くとしています。
■事態を受けての読売テレビのコメント
当社は今回の事態を受け、読売テレビグループ内で問題がないか、社員やグループ会社社員、役員、アルバイト、派遣社員など、読売テレビグループの業務に携わる関係者に対し、改めて相談窓口の周知と情報提供の呼びかけを行いました。
当社では、法令違反や不正行為による不祥事の防止と早期発見を目的に、外部の弁護士を窓口としたグループ内部通報制度のほか、ハラスメント相談窓口や健康管理室の相談窓口を設け、日ごろから相談を受け付け対応しており、今回、これらの窓口についてお知らせしました。
当社は引き続き情報収集に努めるとともに、もし情報が寄せられた場合には速やかに対応いたします。
当社では、これまでにもコンプライアンス研修や人権研修、ハラスメント研修など、定期的な社内研修を実施しているほか、アンケート調査による実態把握を行っており、これらについても引き続き取り組み、お互いの人権・人格を尊重した働きやすい職場環境づくりに努めてまいります。