「病気になるのは悪い事ばかりではない」競泳五輪メダリストの星奈津美さん バセドウ病乗り越え伝えたいこと
■16歳で発症 階段を上るだけでダッシュをした時の動機や息切れ
3大会連続で五輪に出場し、ロンドン大会、リオ大会の競泳バタフライで銅メダルを獲得した星奈津美さんですが、2006年、当時16歳の時にバセドウ病を発症しました。
星さんは、「階段を普通に上っているだけなのにダッシュしたんじゃないかというくらい心臓がバクバクした。動悸や息切れなど脈拍が早くなり、疲れやすかった」などの症状を感じたと当時を振り返りました。
16歳から8年間、投薬治療をしながら競技を続けるも2014年に症状が悪化、甲状腺全摘出手術を決断しました。
星「リオ五輪が自分の中の集大成。不安や焦り、引退が頭をよぎったがそれ以上にまたあの舞台に立ちたいという思いが強かった」
■手術から復帰へ 心境も変化“練習がつらくなくなった”
手術から1か月ほどで練習を再開した星さん。脈拍や心拍数を上げすぎないような練習メニューを組んだり、練習前後の体調確認などわずかな変化にも気づけるようにコーチと密にコミュニケーションを取ったといいます。
そして、コーチや家族、主治医に支えられながら、翌年の世界選手権では金メダル、2016年のリオ五輪では銅メダルを獲得しました。
星さんは、「病気になってトレーニングができなかった時に、健康な体で水泳を続けられることがいかに幸せかを実感することができ、それからはトレーニングをつらいと思わなくなった。病気になるのは悪い事ばかりではない。今後も自分の経験を伝えていくことで、甲状腺疾患の認知度向上や早期発見につながるようなお手伝いができればと思っています」と話しました。
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5月25日は「世界甲状腺デー」。2008年に欧州甲状腺学会が「甲状腺の健康、甲状腺疾患治療の進歩の認識と理解を促進するための日」として制定しました。
「バセドウ病」とは甲状腺ホルモンが過剰に作られる状態である甲状腺機能亢進症を起こす代表的な病気です。
発症すると、「多汗、暑がり、疲れやすい、心臓の動悸、体重減少、眼球突出、食欲亢進、下痢など便通の異常、けん怠感」など様々な症状が現れるといいます。
また、発症が長期にわたると、不整脈や心不全のリスクも高まるといわれています。
※甲状腺疾患を専門に診療活動を行う伊藤病院のHPより
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