【図解】五輪代表選考 複数種目でメダル期待のバドミントンは1年間の選考レース
■2024年4月末まで1年間のレース
まずバドミントンの五輪種目は全5種目。男子・女子シングルスと、男子・女子・混合ダブルスです。
それぞれの種目の出場選手はパリ五輪ランキングで決まります。このランキングは2023年5月1日から2024年4月28日までの対象の大会をもとに算出され、4月30日に最終発表となります。
男女シングルスでは各パリ五輪ランキングの上位32位までの選手と開催国枠で1名、ユニバーサリティ枠で2名の各35名が出場できます。
しかし各国が得られる出場枠には上限があり、ランキングの1位~16位に2選手以上がランクインしている国には2枠(2選手)、それ以外は1枠(1選手)となります。
男子・女子・混合ダブルスでは各パリ五輪ランキングの上位16組までが出場できます。こちらも各国得られる出場枠に上限があり、1位~8位までの2組以上がランクインしている国には2枠(4選手)、それ以外は1枠(2選手)となります。
まず日本が目指すのは全種目で最大の出場枠を獲得することです。それが達成すると、男子・女子シングルス2名ずつ。男子・女子・混合ダブルス2組ずつの、シングルス4選手、ダブルス6組が出場となります。
そんな出場枠を争って1年間にかけて行われるパリ五輪選考レース。対象になる大会は少なくとも30以上となっており、7月に日本で行われるジャパンオープンや11月に行われる熊本マスターズジャパンも含まれています。
なかでも獲得ポイントの比重が高く、好成績を残すと有利になるのが8月にデンマークで行われる世界選手権です。
1年間で30以上も大会がある過密スケジュールのため、獲得ポイントが少ない小規模の大会は参加を見送る選手も多いですが、世界選手権は上位になれば他の大会よりも獲得ポイントが多く、上位の多くの選手が出場する激戦が予想されます。
■シングルス注目は―世界選手権連覇 日本バド界のエース・山口茜
東京五輪ではベスト8に終わり、悔し涙を流しましたが、そこから大躍進。2021年・2022年の世界選手権をはじめ、数々の国際大会で優勝しています。
武器は安定したレシーブと多彩なショットです。山口選手の代名詞にもなりつつあるダイビングレシーブが決まると会場は大きくわきます。
さらに、強烈なスマッシュやスマッシュと全く同じフォームから繰り出すドロップショットなど、多彩な攻撃パターンを持っており、観客を楽しませながらプレーしていきます。
「自分は楽しんでいるときが一番強い」とも話す山口選手。世界女王のパリ五輪でのリベンジに期待がかかります。
■ダブルス注目は―
東京五輪では日本勢で唯一メダルを獲得した混合ダブルスのワタガシペア。2人は中学校の先輩後輩で中学生の頃にペアを結成しました。女子の東野選手が渡辺選手の1学年上の仲良しペアです。
東野選手の強みは女子選手では珍しいとされる強烈なジャンピングスマッシュです。
混合ダブルスはパワーのある男子選手が相手女子選手に対して強烈なショットを狙っていきますが、東野選手のジャンプスマッシュは相手男子選手がレシーブできないことも多くあります。
一方の渡辺選手は持ち前の身体能力の高さで、追いつけないようなシャトルを返したり、厳しい体勢からでもポイントがとれたりと、驚くようなプレーを見せます。
東京五輪では銅メダルを獲得しましたワタガシペア。パリ五輪では金メダルに期待がかかります。
◆三つどもえの激戦 女子ダブルス リオ五輪以来の金メダルへ
リオ五輪では金メダルを獲得するなど「女子ダブルスと言えば日本」とされるほど、強いペアが多くいる日本。
特に大きな国際大会で優勝経験をもつフクヒロペア、ナガマツペア。シダマツペアはどのペアがパリ五輪に出場してもメダルが期待されます。
しかし出場できるのは2組のみ。この3ペアは大会ごとにランキングが入れ替わるなど、実力が非常に拮抗しており、出場権をかけた三つどもえの戦いとなっています。
唯一五輪出場経験がないのはシダマツペア。2人は高校でペアを結成。スピード感あふれる攻撃的なプレーが持ち味です。
しかし、東京五輪ではフクヒロペアとナガマツペアが出場。「パリ五輪こそは」という強い気持ちがあり、東京五輪以降に国際大会で立て続けに優勝し頭角を現してきました。
志田選手が後衛から強烈なスマッシュを打ち、松山選手が前で仕留めるというような攻撃パターンを軸としながらも、プレー中に前衛後衛が入れ替わる鮮やかな動きにも注目です。
この三つどもえの激戦を制した先にリオ五輪ぶりの金メダルを狙います。