競歩・池田向希の暫定的資格停止処分について旭化成が説明「潔白が証明されるよう、今後も鋭意対応」
■暫定的資格停止処分までの経緯
今年6月から8月にかけて血液検査値から“血液ドーピング”の疑いがあること、弁明がある場合には所定の期日までに提出すべきこと等の通知を受けたと説明。
血液ドーピングとは自身の血液をあらかじめ採血して保存しておき、大会前にその血液を自己の体内に戻すことで赤血球量を増やし、パフォーマンスを向上させようとする方法のことをいいます。
これに対して、池田選手はワールドアスレチックス(WA)の設置するAIUに弁明書を提出。今月1日に正式にアンチ・ドーピング規則違反として立件する旨および本件が最終的に解決されるまでの間の暫定的資格停止処分を下す旨の通知を受けたといいます。
■旭化成の対応 スポーツドクターや医学研究の専門家に協力を要請
血液ドーピングと疑われた事象については、「池田選手の体内から、世界アンチ・ドーピング機構が公表する禁止表国際基準に記載の禁止物質が検出されたものではありません」と説明。
AIUでは、国際レベルで活動する一部の選手を対象に、定期的に血液検査を行い、血液中のヘモグロビン等の数値を計測。そして過去の数値から選手ごとに設定された限度を超える変化が認められ、これが禁止物質、禁止方法の使用の結果であると考えられる場合には、その旨選手に通知し、当該変化が規則違反によるものでないことの弁明を求めることとしています。今回の件は、昨年6月に採取された池田選手の血液検査において、ヘモグロビン等の数値が限度を超えて変化したことに関するものだといいます。
本件の通知を受けて、池田選手は、自身の生活情報やトレーニング情報、体調に関する情報や国立スポーツ科学センターで保管されていた池田選手の血液検査データなどの情報を収集するとともに、アンチ・ドーピング研究分野に造詣の深いスポーツドクターや医学研究の専門家の方々にご助力をお願いしたと対応の内容を公表。
その結果、専門家の方々からは、池田選手のヘモグロビン等の数値が変動した原因は、当時の池田選手の練習や生活の環境および体質、処方薬の副作用等により、血管内溶血や消化管出血が起きていたことによるものであり、血液ドーピングによるものではないとのご見解をいただき、その旨の弁明書をAIUに提出しているとのことです。
またこの処方箋に関しては、世界アンチ・ドーピング機構が公表する禁止表国際基準に記載の禁止物質を含むものではありませんでした。
■池田選手「潔白である事実を根拠とともに訴えてまいりました」
これを受けて旭化成は「当社は、スポーツ界におけるドーピングには強く反対し、これを撲滅するためのAIUをはじめとする各種国際・国内機関の理念と活動を全面的に支持します。一方で、上述の通り当社は、池田選手本人のヒアリングのみならず、医学的見地から専門家の方々の意見書を頂戴し、池田選手にアンチ・ドーピング規則違反はないものと認識しております。そのため今後も池田選手が潔白を証明するための活動を全面的に支援してまいります。加えて、これまで数多くのオリンピアンを輩出してきた企業として、今回の事態を受けて、アンチ・ドーピングの理念とアスリートの正当な競技参加が両立されるためにできることがないか、今後関係各所ともご相談させていただきつつ検討してまいります。今後とも、池田選手の活動にご支援とご理解を賜りたく、何卒よろしくお願い申し上げます」とコメント。
また池田選手は「今回、全く身に覚えのない理由で今後の試合に出場できないかもしれない状況となり、たいへん困惑しております。6月28日にAIUから通知を受け取って以来、多くの医学専門家、競技関係者その他関係者の方々にご協力いただき、潔白である事実を根拠とともに訴えてまいりました。今後真実が明らかになり、公正な結論が導かれるよう引き続き努めてまいる所存です。今後ともご理解とご支援をいただければありがたく、何卒よろしくお願いいたします」とつづりました。