【特集】飲食店や宿泊施設…変わりゆく男鹿駅前 「空き物件は宝物」まちづくりに挑む男性の思い
JR男鹿駅周辺では、おととしからの2年間で、飲食店や宿泊施設など新たな事業が立ち上がり、いずれも空き物件が活用されました。
変わりゆく男鹿駅前と、まちづくりに取り組む男性を取材しました。
去年12月、JR男鹿駅のほど近くにオープンしたスナック「シーガール」。
かつて地元の人たちのよりどころとして愛されていた店が、名前や看板をそのままに、生まれ変わりました。
新しい店長との会話を楽しみに、かつての店の常連客も訪れています。
シーガール 店長 保坂葵さん
「みんなで乾杯して、誰かが帰るってなったらみんなでお見送りしたりとか、本当に観光客の方がまた男鹿に来たくなるみたいな、そういう場所に少しずつなってきているのがちょっとうれしいなっていうのが、やってて思います」
「シーガール」をはじめ、近年、男鹿駅前には、新たな店が続々とオープンしています。
その立ち上げに大きく関わっているのが、クラフトサケ醸造所「稲とアガベ」の代表、岡住修兵さんです。
「稲とアガベ」は、日本酒の製造技術をベースに、コメを原料にした新たなジャンルの酒を生み出し、県の内外から注目されています。
岡住さん
「僕たちのお酒がおいしければおいしいだけ、この町に人が来てくれる、そんな意味付けをしているイメージですかね」
かつては店が軒を連ね、多くの人が行き交っていた男鹿駅前。
しかし、人口流出に少子化が重なり、いまはシャッターを下ろしたままの建物が多くなっています。
そんな中、「稲とアガベ」の醸造所は、旧JR男鹿駅をリノベーションして、4年前に完成しました。
岡住さん
「ありがたいことに最初から受け入れていただいたなぁというふうに思っていて、市役所をはじめ、いろんな人たちがサポーターになって応援してくれたからこそ、いまの我々があるなぁというふうに本気で思っていますし」
元々は福岡県出身の岡住さん。
稲とアガベの開業に伴い、拠点を男鹿市にした岡住さんは、駅前で定期的にお酒のイベントを開き、地域の盛り上げに奔走してきました。
さらにおととし、酒造りの枠を超えた事業にも乗り出します。
地元の人たちがこの先も希望を持って暮らせる街に。
岡住さん
「あちらがうちの食品加工所のサナブリファクトリーです」
駅前の空き物件を活用して、次々と新たなビジネスを生み出しています。
食品加工所とセレクトショップ、スナック、ラーメン店、民泊施設、そして鉄工所だった場所は、ジンなどの酒の蒸留所に。
様々なジャンルの事業が、この2年で“かたち”となりました。
岡住さん
「僕には空き物件とかシャッターが閉まっているところは宝物に見えるんですよ。僕が自分の子どもだけじゃなくて、地域の子どもたちにそういったところを生まれ変わらせていく様を見せつけることで、地域の子どもたちが自分もチャレンジしようと、そんなふうに思ってくれたらなっていう思いが強いです」
土地に惚れた男鹿の未来を自分の手で切り開いていきたい。
かつてにぎわいを見せていた海辺の地域が、新たな船の乗り手を得て、未来へと漕ぎ出しています。