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八橋?外旭川?課題山積…迷走する新スタジアム議論

2024年6月14日 19:03
八橋?外旭川?課題山積…迷走する新スタジアム議論

秋田市議会では、市が今後進める事業や様々な課題について議員の質問に答える一般質問が来週月曜日に始まりますが、新たなスタジアムに関する質疑も予定されています。

穂積市長は今月に入り、過去に候補地から外した秋田市の八橋運動公園内を再び候補地として検討する考えを明らかにしました。

なぜ過去に候補地から外れ、なぜ再び検討をすることになったのか。

新たなスタジアムをめぐる過去の議論から、これまでの経緯をまとめました。

今年3月、サポーターが熱狂する、秋田市八橋のソユースタジアム。

その八橋の中心で覚悟を叫んだ、秋田市の穂積市長。

穂積市長
「スタジアムを作らなければ、死んでも死にきれない!」

重い覚悟を持つようになったきっかけのひとつは、市民、県民の熱い思いです。

新たなスタジアム建設を望む、約18万筆の署名。

ブラウブリッツ秋田の後援会が、1万人規模の新たなスタジアムの建設を目指し、約3か月かけて集めました。

当時J3だったクラブには、上位のリーグでプレーするために必要な規模の施設がなかったためです。

クラブが上位リーグへの昇格を断念せざるを得ない状況にもなり、新たなスタジアム建設を後押ししようというムードが、行政側にも生まれました。

行政、クラブ、それに経済界の関係者は、理想のスタジアムを目指して話し合いを重ね、建設候補地を秋田市内の3か所に絞り込むまで議論が進展しました。

大学や企業の敷地内とともに候補地となり、有力視されたのが、八橋運動公園でした。

建設計画に関わる関係者の意向をまとめる、2019年の会合には、秋田市の担当者を含む16人が出席していましたが、9人が、八橋運動公園での建設を支持しました。

ただ秋田市は、この会合の場で、八橋地区での建設に、否定的な見解を示していました。

秋田市 企画調整課 齋藤一洋 課長(当時)
「近隣に代替施設を確実に整備していくという条件課題が解消されない限りは八橋は適さない」

この翌年の2020年、秋田市が中心となり、県と、候補地についての最終報告書をまとめましたが、八橋運動公園内への建設は困難であると結論づけていました。

スタジアム建設に関する議論に参加し続け、秋田市の考え方を説明していた担当の課長は、いまは部長職に昇進し、外旭川地区のまちづくり事業も統括する立場です。

秋田市 企画財政部 齋藤一洋 部長
記者
「これまでかなりの費用と年数をかけてきたわけですけど、八橋に戻ってきたことの受け止めは」
齋藤部長
「まだ『検討』するという段階ですし、県とそれからブラウブリッツと3者でこれから『検討』することなので…」「これからの『検討』なので」『検討』する段階ですし」
記者
「まだ『検討』の段階だから(八橋は)決まっているものではない?」
齋藤部長
「可能性として…と市長おっしゃってますので、いま特にそれを前提にという話ではない」

「整備は困難」という結論から再び「検討」に入った、八橋地区での新スタジアム構想。

秋田市が八橋地区を候補地から外した最大の理由は、“市民への影響”でした。

当時建設が想定されたのは、サッカーやラグビーで使う「第2球技場」と、隣接する「健康広場」、合わせて約2万平方メートルの敷地でした。

このうちの「第2球技場」は、市民の利用頻度がきわめて高く、市は、建設の期間中に代わりとなる場所、代替地の確保が必要だと判断しました。

しかし、検討を続けたものの、代替地は見つからなかったという結論に至り、八橋運動公園は、建設候補地から外れました。

その結論をまとめた2020年の最終報告書の中には、いまの計画につながる新たな候補地が明記されました。

「外旭川地区を候補地のひとつとして、周辺一帯の総合的なまちづくりのあり方に関する検討の中で、その適否について検討を加える」

卸売市場の建て替えに伴って新たな土地を確保できる見通しだったこともあり、候補地に浮上した外旭川地区。

穂積市長も翌年、市議会の場でこの方針を明確に答弁しました。

穂積市長
「本市としても八橋運動公園内への整備を再検討することは考えておりません」
「外旭川地区を候補地とすることは市民から一定の理解を得られているものと捉えており…」

それから約3年間、議論を重ねてきましたが…。

穂積市長(今月3日)
「八橋っていうこともね、ひとつの選択肢にあるだろうと、こう思ってます」

なぜいま再び、八橋地区が候補地に浮上したのか。

穂積市長は、スタジアムの規模の条件が、去年、緩和されたことを理由のひとつに挙げました。

穂積市長
「1万人規模のものを建てなきゃいけないということで、八橋の方も非常に難しいと。そういうことでありましたが、当市は5000人規模でもいいと。今後はね」

八橋地区が候補地だった当時、必要とされたスタジアムの規模は、J2でプレーする場合は「1万人以上」。

J1なら「1万5000人以上」だったため、相応の広さの敷地が必要でした。

ただ、去年12月、Jリーグは、ホームタウンがある都市の人口などによっては、5000人以上の規模でも認める場合があると、基準を緩和しました

その基準をもとに建設した場合、建設期間中の、市民への影響が少なくなるのかどうか。

また、県立体育館の建て替えへの影響や、憩いの場、災害があった際の避難の拠点としての公園の機能を損なわないかどうかも、判断材料になりそうです。

県も、かつて秋田市とともに、八橋地区での建設の是非を検討しましたが、佐竹知事は、「市の検討状況を見守る」と話すにとどめ、賛否については明言を避けました。

知事が気を揉むのは、費用の話。

県も一部負担する想定の事業費の行方です。

記者
「仮に県の負担が増えるとなった場合には八橋案には賛同?」
佐竹知事
「うちの方はいまのところは…30億、これが限界です」
記者
「では30億上回った場合は知事としてはどういう考え?」
佐竹知事
「チームに、チームに」

外旭川地区で建設する場合、着工は、6年後の2030年。

事業費は約90億円を見込み、県と秋田市が30億円ずつ負担する想定です。

運営費は年間1億7000万円の赤字を想定しています。

着工時期、事業費、収支計画の点で八橋地区にどれだけメリットがあるのか。

また、その詳細をどれだけ早く示せるのか。

課題は山積しています。

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