行政のトップ より早い判断と行動の重要性再確認
大雨をはじめとした災害時は住民の命を守るためには避難に関する情報を出す行政のトップの迅速な判断が極めて重要になります。県内の市町村長などが大きな災害を経験したトップから経験談を聞く講演会が秋田市で開かれ、改めてより早い判断と行動の重要性を確認しました。
講演したのは熊本県内陸南部にある人吉市の松岡隼人市長です。人口3万人の人吉市は2020年7月、大雨で甚大な被害を受けました。線状降水帯が発生して24時間で400ミリの雨が降り大雨特別警報も出され一級河川の球磨川が氾濫。20人が死亡し、全世帯の5分の1にあたるおよそ3000棟の住宅が全壊または半壊しました。
おととし、去年と県内でも大雨災害が続き各市町村長の判断で緊急安全確保や避難指示が相次いで出されましたがそのタイミングなど判断の難しさも浮き彫りとなりました。人吉市の松岡市長は自らの経験を基に訴えました。
松岡人吉市長「『ここは危ないから逃げて下さい』って住民に避難の誘導をするんですね。その時に『いや昭和40年の水害で2階までは水は来んやったけん大丈夫』。で、避難をされませんでした。ところがいざ川の水が溢れてどんどんどんどん水位が上がってきたとき、電話で消防団にですね『助けに来てくれ』っておっしゃったんですね。で消防団は『いやいや、もうそんな水位があがっているのに、自分たちは助けに行けません』と電話で答えました。それを見ていた地域の人達が『お前たちは消防団だろうがゴムボート持ってきて助けに行かんか』って言わすわけですね。これは絶対にあってはならないことです」
松岡市長は「いち早く判断し行動を起こした先に何事もないのが最高の結果だ」と述べ、いわゆる空振りを恐れずに臨む重要性を強調しました。
松岡人吉市長「どうにかしてやっぱりその人を助けようとみんなが力を尽くし ます。ですから、逃げないということは、ほかの人にも迷惑がかかる。ほかの人の命を奪う可能性が往々にしてあるということです」だから早めの避難が必要だと私は考えます。もうこれに尽きると」
松岡市長は災害廃棄物を集めるのは1か所で行った方がその後の処理のスピードが格段に上がること。それに、川に堆積した泥などを取り除く「洲ざらい」は氾濫を防ぐため、県や国の支援を受けながら少しでも早く行うことが必要だと呼びかけました。
講演会を主催した県は、行政のトップが災害時に適切な判断を下し、迅速な行動がとれるよう後押しを続けていきたいと話しています。