スーパー居座りのクマ 捕獲・搬出まで55時間…対応は正しかったのか?緊急会議で県警に改善を求める意見
先月30日、秋田市にあるスーパーの店内にクマが侵入し、捕獲・搬出まで55時間を要したことについて、関係機関が集まり、対応のあり方について意見を交わしました。
秋田市があらかじめ作成していたクマの市街地出没の対応マニュアルには、秋田市と警察、それに猟友会の3者が連携して、クマの排除や捕獲を進めると記されてあります。
しかし、スーパーにクマが侵入した際は、県警が秋田市と猟友会に情報を共有せず、一方的に対応していたことが、市や県への情報公開請求で明らかになりました。
会議でも、参加者から県警に改善を求める意見が出されました。
先月30日、秋田市土崎港西のスーパーにクマ1頭が侵入し、開店準備をしていた男性従業員が襲われ、頭などにけがをしました。
クマはその後、店内に留まり、捕獲・搬出までに55時間を要しました。
川口大介 記者(1日目)
「先ほどから胃カメラのようなものを何度か差し込んでいますが、まだクマの発見には至っていない模様です」
55時間のほどんどが、クマの居場所の確認や安全確保に割かれました。
2日目は、県警がドローンなどの機材を投入しています。
県警察本部 山本哲也 本部長
「クマの居場所を確認しながら、広い範囲をいかに狭めて箱罠の設置、それに入るようにするのか、その効果をいかに上げるのかというオペレーションが必要なんだと、こういう判断で、県警察は私がやっておりました」
県警察本部の山本哲也本部長は、県議会でこのように述べて「意思決定は警察が行った」という趣旨の発言をしています。
一方、クマが居座った現場では…。
秋田市の報告書
「市と県は警察の調査に立ちあうことができず待機」
秋田放送の取材に、秋田市は「バックヤードと売り場を仕切る扉の封鎖や、バリケードの設置は、県警から事前の説明はなく、事後報告だった」と話します。
県と県警が作成した指針には…
県と県警が2020年に策定したクマへの対応指針には、「関係機関と必要な情報共有を図る」と記されているほか、秋田市の対応マニュアルにも「連携して排除活動や捕獲活動する」とあります。
冒頭以外非公開で行われた20日の会議では、スーパーでの対応と事前に作成したマニュアルとの乖離が指摘され、各機関から県警に対し、情報共有を求める意見が出されたということです。
「関係機関が協力して事案に対処するはずが、今回の現場の対応では、指揮命令・連絡体制がマニュアルに基づいていないように見受けられる」
出動した実施隊(猟友会)
「警察の方から情報が入ってこなくってですね」
県自然保護課 千葉 課長
「スーパーの中ということで」
「クマ、対象物も見えないという中でやっているということで、いままでと違う事案だということで、なかなかお互いの意思疎通をはっきりと分かり合えながら出来たかというと、そこら辺がもっとできる部分だったんじゃないかというところがそれぞれの立場で思うところがあったということで、その辺のすり合わせをきょう上手くできたのではないか」
議を主催した県自然保護課は、今回の反省を踏まえ、クマが建物の中に侵入した際などの対応マニュアルについて、各市町村で見直しを進めて欲しいと話しています。