東海3県の倒産件数・負債総額が増加、主な要因は物価高や人件費などの「コストアップ」か
東海3県下の企業における、倒産件数と負債総額が増加している。
「株式会社東京商工リサーチ 名古屋支社」によると、2024年5月度の東海地区の企業倒産は89件、負債総額は143億1,700万円となった。倒産件数は前月比31件増加し、負債総額は前月比55億8,600万円増加。県別でみると89件のうち、愛知県は65件、岐阜県は12件、三重県は12件の企業が倒産した。
販売不振による倒産が全体の80%以上を占め、最も倒産が多かった業種は、サービス業で25件、次いで建設業が16件、製造業と卸売業で14件となった。
集計史上最多の倒産件数は2001年5月度の145件。「株式会社東京商工リサーチ 名古屋支社」担当者によると、その主な原因は「ITバブルの崩壊」だったという。
では、2024年5月度の倒産件数が増加した理由は何なのか。同担当者は、さまざまな要因が重なっていることを挙げながらも、主な原因は「コストアップ」ではないかと述べた。日経平均株価の高値推移、インバウンド需要の回復など明るい材料はあるものの、物価高や人件費等のコストアップは当面続く見通しだ。コストアップに対応できない中小企業は、生き残りが難しい時代を迎えているという。
しかし、同担当者曰く「89件という数字はピーク時(2001年5月度)に比べると少ない」。同担当者によると、コロナ禍だった2021年~2022年は、国が企業の倒産を防ぐさまざまな施策を実施していたため、企業の“倒産件数”は比較的抑えられていたという。しかし、コロナ禍前の2020年度には、倒産件数を80件を超える月が2回あったという。
コロナ収束が進む現在、コロナ禍に実施された施策の“恩恵”が薄れつつある。「ゼロゼロ融資」は4月に返済開始の最後のピークを迎えたが、返済が負担になり事業継続を断念するケースも出てきている。金融機関が企業にリスケ等の支援策を提案しても、経営改善の見通しが立たずに事業継続を諦めるケースも少なくないという。そんななか、発生している“コストアップ”が企業を直撃しているのだ。
「株式会社東京商工リサーチ 名古屋支社」によると、今後は売上回復が遅れた企業の息切れ倒産や売上増に資金調達が追いつかない“黒字倒産”を交えながら、倒産件数は増加基調を辿るとみられている。