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【沸騰化の処方箋】現代版・ジャックと豆の木!? 驚異の成長を遂げる木が地球を守る

2024年6月3日 19:25
【沸騰化の処方箋】現代版・ジャックと豆の木!? 驚異の成長を遂げる木が地球を守る

いまや地球は“沸騰化”の時代に突入。日本でも夏に連日猛暑日が続くなか、この“沸騰化”を驚きの方法で食い止めようと対策が始まっていました。

CO2を“吸収”できるよう対策が必要

そもそもなぜ、いま地球はアツくなっているのでしょうか。二酸化炭素の増加が原因と言われている地球の温暖化。東京大学の熊谷朝臣教授によると、人が活動する上で排出されるCO2は、発電や工場、自動車などから出る「産業活動」と木を伐採したり燃やす「森林破壊」の2つが原因とされています。
排出されたCO2は、「森林」「海」で吸収していますが、排出されるCO2の量が多すぎて、森林と海で吸収しきれていない分が大気に残ってしまう。その量が増えることで、地球が暑くなっているということです。
CO2の排出を削減したりもっと吸収できるよう対策が必要となる今。この“沸騰化”を、驚きの方法で食い止めようとする対策が日本で始まっていました。

2年で8m超え!沸騰化の救世主「早成桐」とは?

地球沸騰化を食い止める救世主となるという木の苗を、中京テレビ・森田記者がデスクで育ててみました。葉はぐんぐん大きくなり、力強く枝を伸ばしていきます。1か月で10㎝ほど伸びるという、成長の早さが特徴だというこの木。1年経つと、天井を突き破るほどの高さになるのだそう。

木の正体を探るべく、森田記者が向かったのは静岡県菊川市。この木を育てている、「クール・アース」代表・橋本健二さんを訪ねました。橋本さんが案内したのは、8mを超える高さの木が育つエリア。なんと、この高い木の数々は、あの苗がたった1年11か月で育ったものなのです。

木の名前は「早成桐(そうせいぎり)」。アメリカで発見された桐のなかでも、特に成長が早い種で、橋本さんの会社では早成桐の生産から植林まで取り組んでいます。「地球環境について勉強して、自分としてもやれることはないかと探していたら、“早成桐”に出会った」と早成桐を知ったキッカケを話す橋本さん。

実は、一本の木が吸収できるCO2の量には限りがあります。そのため、適度に木を伐採し、新たな木を植えなければ森はCO2を吸収し続けることができません。圧倒的なスピードで育つ早成桐は、そのサイクルが早いため地球沸騰化対策の救世主になると期待されているのです。

目標は1億本以上の植樹!肥料や土を改良

早成桐は、すでに愛知県の知多半島にも植樹されていました。橋本さんたちが植樹していたこの土地は「耕作放棄地」だった場所。こうした土地を有効活用するため、全国で約2万本の早成桐が植えられてきました。

CO2吸収を目的に植樹される「早成桐」ですが、意外な使い道もされていました。それは、なんと「ギター」。橋本さんによると、通常の木材で作ったギターよりも軽く、よく音が響くのだそう。ほかにも、湿気やにおいを吸い取る長所を生かし、家具や内装材としての実用化を目指しています。

しかし、まだまだ早成桐の課題は多いそう。その課題について、「発芽率が非常に低いという問題もあるんですけど、なかなか難しいですね」と橋本さんは明かします。原因はわかっていませんが、植えた種のうち芽が出るのは半分にも満たないというのです。

安定して供給するため、橋本さんたちは肥料や土を改良する研究を実施。「(今後は)まとまった“植林団地”を作りたい。工業団地はありますけど、植林団地はないので。人生最後の集大成の仕事ということで、国内で1億本以上植えていきたい」と今後の展望について語りました。

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