「落とし物」全国で過去最多の約3000万点 最近の傾向は“小型”&“ワイヤレス” 現金も約228億円で過去最高額に
去年、警察に届けられた“落とし物”の数は全国で約3000万点にのぼり、過去最多となっています。実際に名古屋で見つかった“落とし物”を見てみると、イマドキの傾向が見えてきました。
落とし物が過去最多を記録 その背景にあるのは…?
名古屋の中村警察署内にある、落とし物として届けられたものが集まった部屋。そこには、大量の落とし物が保管されていました。傘やキャリーケース、キックボード、ベビーカー、落とした人はどうやって帰ったのか心配になる片方だけの靴も。
去年、全国の警察に届けられた落とし物の数は約3000万点で、過去最多を記録。愛知県内でも約144万6000件の落とし物が届けられ、こちらも過去最多となりました。
さらに、「現金」の落とし物も過去最多となっています。去年1年間で警察に届けられた現金の落とし物は、全国では過去最高額の約228億円。愛知県だけでも約12億円もの現金が落とし物として届けられています。
こうした落とし物の現状について、中村警察署の高瀬雅文会計課長は、このような見解を示しています。
中村警察署 高瀬雅文会計課長:
「コロナが終わって、みなさん外出することが増えたことが、(落とし物が増えた)大きな要因ではないかなと思っています」
自粛や制限がなくなったことで外出する人が増え、それに伴って落とし物も増えているようです。
落とし物の検索や登録もAIでラクラクな時代に!
こうした“落とし物”に対し、名古屋鉄道では新たな取り組みが始まっています。
その一つが、拾得物を登録するためのタブレット。このタブレットで届けられた物を撮影すると、AIが自動で品目を判定。あとは、落ちていた場所などの必要事項を選択すれば、データベースへの登録が完了。以前よりスピーディーに対応できるようになったと言います。
さらに、落とし物の保管場所を東海市の1か所に集約しました。
名古屋鉄道管理部 中嶌英昭さん:
「以前は14駅ほどで届けられた物を保管して、それぞれの所轄の警察署に届け出をしたりという業務をしていた。(1か所に)全部集めることによって軽減した」
取材中、落とし物を受け取りに来た人に遭遇しました。娘が電車に忘れた傘を取りに来たという女性。娘さんが問い合わせをしたそうですが、その際に便利だったというのが、名鉄のホームページにあるチャット機能。落とした物や日時、場所などを入力するとAIが検索。電話をかけるのが苦手な人でも、気軽に問い合わせができるようになっています。
名鉄の中嶌さんによると、最近、落とし物で増えているのが、スマートフォンやモバイルバッテリー、ワイヤレスイヤホンなどの電子機器。この日も、ワイヤレスイヤホンの片方を落としたという高校生が、受け取りに来ていました。
落とし物は3か月経っても持ち主が現れなければ、基本的には届けた人のものになりますが、去年、中村警察署で落とし物が持ち主に返還されたのは、わずか8%。問い合わせの煩わしさなどから、落とし物をしても探すのを諦めてしまいがちですが、最近は気軽に問い合わせできるような仕組みづくりも進んでいるので、諦めずに問い合わせてみてもいいかもしれません。