3500万円贈賄の男に懲役10か月求刑　特別養護老人ホーム理事選任の見返りに　三重・津地裁

特別養護老人ホームを買収しようと、当時の理事長らに現金を渡したなどとして逮捕された男の裁判で、検察側は懲役10か月を求刑しました。

起訴状によりますと、和歌山県紀の川市の不動産管理業・金田充史被告(53)は2022年2月、共犯の男とともに三重県鈴鹿市の社会福祉法人「かがやき福祉会」の理事選任に便宜を図ってもらう見返りに、現金約3500万円を当時の理事長らに渡したとして社会福祉法違反の罪に問われているほか、社会福祉法人名義の口座から現金500万円を引き出し横領したとされています。

21日に開かれた初公判で、金田被告は「間違いありません」と述べ、起訴内容をすべて認めました。

検察側は「被告の犯行は社会福祉事業に対する社会の信頼を失わせる行為で被害は深刻であり、終始、主導的な役割を果たした」などとして懲役10か月を求刑しました。

対する弁護側は「被告は犯行当時、社会福祉法に対する知識が低く法律の錯誤もあった」とした上で、「すでに被害弁償をしており、大きな社会的制裁も受け反省し、再犯の可能性はない」と訴え、執行猶予付きの判決が相当だとしました。

裁判は即日結審し、判決は1月30日に言い渡される予定です。