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岐阜の高校生が生み出した地元愛あふれるレシピ 「雑煮」日本一を決める大会で1107作品の頂点なるか

2024年5月6日 17:25
岐阜の高校生が生み出した地元愛あふれるレシピ 「雑煮」日本一を決める大会で1107作品の頂点なるか
柚凪さんが開発した「信長雑煮」
先月、ちょっと季節外れな雑煮日本一を決める大会「Z-1グランプリ」の準決勝が東京都内で開かれました。「地元食材にこだわった雑煮」がテーマの、この大会。参加資格は、小学生から高校生までで、応募総数1107作品の中から、5作品にまで絞り込まれています。実は、この中に岐阜市の高校生が開発した雑煮が残っているのです!

恥ずかしがり屋の高校生が生み出した雑煮が快挙へ…!

岐阜県岐阜市にある城南高等学校。お昼休みのチャイムがなり、これからみんなでランチタイム…かと思いきや、生徒たちは一斉に着替え始めました。着替えたのはコックコート。礼儀正しく挨拶して調理実習室に入ったかと思えば、食材の下ごしらえなど、猛スピードで準備を始め、授業開始5分前には準備完了!

彼らは、調理科の生徒たち。若くして料理の道を選んだ生徒たちだけあって、とっても意識が高いのです。

そんな彼らが一目置いているのが、冨成柚凪(とみなりゆな)さん。Z-1グランプリで準決勝5作品に残っている生徒です。さっそく話を聞いてみようと思ったのですが…実は柚凪さん、かなりの恥ずかしがり屋。何を聞いても照れて、口ごもってしまいます。ということで、先にクラスメートから情報収集。

同級生たちに柚凪さんの印象を聞いてみると「真面目ですけど、関わりにくいとかカタいとかじゃなくて、いつもフワフワしている」「冨成は、よく周りに気配りできる。頼りになります」と話してくれました。

いったい、この恥ずかしがり屋さんが、どんな雑煮を作り出したのでしょうか。授業後、実際に作ってもらうことにしました。

雑煮に使うのは、各務原のニンジン、飛騨のほうれん草、奥美濃古地鶏など、すべて岐阜県産の食材。さらに、こんなものまで。

冨成柚凪さん:
「干し柿です。信長が好きなのがお酒と干し柿って聞いたので…」

柚凪さんが開発したのは、その名も「信長雑煮」。具材はすべて岐阜県産というこだわりですが、中でも信長が好きだったとされている干し柿を加えるという、驚きのアイディアで勝負に出ました。ダシにも信長が愛したお酒をイメージして甘みのある酒粕を加え、独特の味わいに仕上げています。

冨成柚凪さん:
「岐阜城の城主だった信長をイメージしました。小学校も中学校も高校も全部、岐阜城が見える所にあって、すごく身近な存在です」

恥ずかしがり屋の柚凪さんが一生懸命話してくれた、雑煮への思い。実は、岐阜県の検定を受けるほど地元愛が強い柚凪さん。そのとき、信長のことを勉強したことがきっかけで、この「信長雑煮」を思いついたんだとか。

柚凪さんを支えてきた城南高等学校の所大治先生も「特産品を使う所まではできても、そこに意味を作れる生徒はあまりいない。すごくおとなしい生徒だったけど、めちゃくちゃ成長しました」と、彼女のアイディアに驚かされたと話します。

柚凪さん自身もコンテストを通して成長を感じているようです。

冨成柚凪さん:
「中学までは、やりたいなと思っても最初の一歩が踏み出せないことが多かったんですけど、やらずに後悔するより、やって後悔した方がいいなと思って」

名だたる料理家たちが審査 「信長雑煮」の結果は…?

4月27日、東京都小金井市にある辻調理師専門学校で、Z-1グランプリの準決勝が開催されました。これまでに全国から集まった1107作品の中から5作品にまで絞られていますが、ここでさらに決勝に進む2作品が選ばれます。

準決勝では、調理学校の講師がレシピに沿って忠実に雑煮を作り、服部幸應さんら名だたる料理家たちで、独創性や味、彩りなどを審査します。残った5作品は、それぞれの県の特徴がしっかりと表れたものばかりで、審査員も驚くほどハイレベルな戦いとなりました。

そんな中、いよいよ柚凪さんの「信長雑煮」の番がやってきました。

「信長雑煮」を試食した料理評論家の服部幸應さんは、一口食べて「なかなか、いいお味ですよ」と、笑顔を見せます。テレビドラマの料理指導などを務める広里貴子さんも「干し柿との甘みのバランスがどうなのかなと、レシピを見たときに思ったんですけど、全然けんかしてない」と高評価。一方、辻調グループ代表の辻芳樹さんは「雑煮からちょっと逸脱しているのもあるよな。どこまで逸脱していいんだろうなっていう」と評価に迷っている様子でした。

その頃、柚凪さんは自宅で母親と結果を知らせる電話を待っていました。そして、ついに運命を決める着信が…。淡々と電話に対応する柚凪さん。その表情からは読み取ることはできません。電話を切った柚凪さんに結果を聞いてみると…。

冨成柚凪さん:
「通過しました!」

柚凪さんの「信長雑煮」は見事決勝進出。しかも1位通過です! この結果に柚凪さんも満面の笑みを浮かべながら「今、ドキドキです。(決勝では)一個ずつ、一個ずつちゃんとできたらなって思います」と決勝に向けての意気込みを話してくれました。

審査員の服部幸應さんは「信長雑煮は突出していた。今までに味わったことがないし、信長が生きていたら、笑みを浮かべて『わははは!』と言われたのではと思うくらい」と、「信長雑煮」を評価しました。

決勝に進んだもう一つの作品は、鹿児島県代表の「かごんま特製雑煮」。6月に大阪で直接対決です!

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