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苦渋の閉店から大逆転! “練り物愛”あふれる看板娘のデジタル戦略に救いの手が! 名古屋・熱田区

2023年10月6日 18:24
苦渋の閉店から大逆転! “練り物愛”あふれる看板娘のデジタル戦略に救いの手が! 名古屋・熱田区

名古屋市熱田区に店を構えて100年。熱田区民の味“はんぺい”を作り続けてきた老舗かまぼこ屋店「魚又」が、長い歴史に幕を下ろした。
閉店とともになくなってしまうのかと惜しまれた“はんぺい”だったが、なんと復活の兆しが…!それは、“練り物愛”に溢れる看板娘・村瀬梨紗さんが閉店前に始めていた“あること”がキッカケだった。

創業100年の老舗が作り続けた、熱田区グルメ“はんぺい”

“はんぺい”とは、練り物の王道・はんぺんのこと。「私たちの地域だけ“はんぺい”と呼ぶ。不思議ですよね、地域性ですかね」と呼び名の理由を予想するのは、老舗かまぼこ屋店「魚又」の村瀬梨紗さん。
魚又・4代目を父に持ち、練り物に囲まれて育ってきた、自他共に認める“練り物好き”だ。「県によって全然食感の違う練り物がたくさんある。私は(練り物の)そういう部分もすごく魅力的だなと思う」と練り物愛を語る梨紗さん。自身も2年前から家業に入り、本店の運営などを担当してきた。
そんな梨紗さんが本店で寂しそうに見つめていたのが、空っぽのショーケース。かつては、手作りのはんぺいなど様々な練り物が並んでいたが、もう並ぶことはない。本店の販売はすでに終了、9月30日をもって「魚又」は創業100年の歴史に幕を下ろすことを決めたのだ。
機械の老朽化、修理メーカーの相次ぐ閉業、練り物需要の低迷、職人の高齢化、原料のすり身の仕入れ難など様々な要因が閉店の理由だ。「このままでは、(商品を)安定して作り続けられない」、苦渋の決断だったという。熱田発祥で外側が朱い「名古屋かまぼこ」をはじめ、様々な練り物を製造・販売してきた「魚又」。“はんぺい”は職人が毎朝一つ一つ手作りしており、名古屋市中央卸売市場で働く人々をはじめ、地元の人々に長く愛され続けてきた“熱田区民の味”なのだ。

営業最終日に溢れた涙「お客さんたちには感謝しかない」

営業最後の日、名古屋市中央卸売市場でいつも通り店を開けた「魚又」。開店するやいなや、次々とお客さんが来店し、気が付けば行列が出来ていた。「あったかいから、大好きなんよ」とはんぺいへの愛を語る市場の人々。朝食やおやつとしてはんぺいは、市場で働く人々の体と心を温めてきた。はんぺいを購入した人々は、「熱田神宮の周りのかまぼこ屋さんは、「魚又」で最後。寂しいよね」、「この味が食べられないと思うと、練り物の一つの歴史が終わってしまった感じ」など老舗の閉店と、二度と味わうことのできない“はんぺいの味”に名残惜しさを募らせた。
お客さんのなかには、買ったばかりのはんぺいで作ったおでんを、「魚又」の人々に差し入れる人も!温かいおでんを味わいながら梨紗さんは、「こうやって召し上がっていたんだって、初めて知りました」と魚又と地元の人々が築いてきた“日常”に微笑んだ。多くのお客さんに惜しまれながら、最後の営業が終了。
梨紗さんの母・麻砂代さんは「毎日来てくださる方もいた。お客さんには感謝しかない」と涙を浮かべた。一方で「製造の機械が止まっちゃったから、もうどうしようもないけど。(「魚又」を)続けたかったね…」と梨紗さんと共に寂しさを滲ませた。

諦めたくない!YouTubeで掴んだ“はんぺい復活”の希望

閉業が決まってから、梨紗さんが取り組み始めたことがあった。それは再起の道を探るべく、かまぼこ業界の現状を伝える動画を投稿するYouTubeチャンネル「かまぼこ屋の娘」の開設だ。
動画には梨紗さん自らが登場し、“あと●●日後に閉店するかまぼこ屋の娘”というフレーズと共に、閉業という切ない現状を、コミカルなテンションとユニークな切り口で発信。その再生回数は多い動画で、なんと700万回を超えることも!
この取り組みが、閉業後の「魚又」に“奇跡”を誘い込む。なんとYouTubeを見た、宮城県のかまぼこ屋が「魚又のかまぼこ」の復活に力を貸してくれることになったのだ。名乗りを上げたのは、「三陸フィッシュペースト」の及川善弥社長。「(動画をみて)無視はできない思った。うちの工場で良ければ使って、いろいろ研究してほしい」と協力の経緯を語った。動画配信をキッカケに、名古屋から数百㎞離れた宮城県から届いたエール。嬉しさを滲ませながらも梨紗さんは、「また同じものを再現することはすごく難しい。本当に挑戦です」と復活への決意を語った。

SNS発信をキッカケに、掴み取った希望。果たして、“魚又のかまぼこ”を復活させることは出来るのか…!? 練り物をこよなく愛する、梨紗さんの新たな挑戦が始まる。

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