被災地のラグビー部が岐阜で再始動!“ライバル”のピンチを救ったラガーマン達の強い絆
北陸のラグビー強豪校が、全国大会にむけてようやくスタートを切った。彼らの練習場所は、学校から遠く離れた、岐阜県・恵那市にある中部大学。そのキッカケは、学校の垣根を超えた、ラガーマン達の強い絆にあった。
中部大学が「日本航空高校石川」ラグビー部を支援
岐阜・恵那市にある中部大学の研修センターで練習に励む、愛知県の「春日丘高校」ラグビー部。全国大会に13回出場しているこの地方の強豪校だ。年末の全国大会、いわゆる“花園”が終わり、新チームが始動したばかりのこの時期。彼らの練習会場だった、中部大学の研修センターに現れたのは、石川県の「日本航空高校石川」のラグビー部。全国大会に19回出場してきた、春日丘高校のライバル校だ。
日本航空高校石川ラグビー部は、受け入れ先である「中部大学」の研修センターにて合宿を開始。このグランドで2024年の練習のスタートを切る。
元々、合同練習をしたり、練習試合をしたりとラグビーを通じて繋がりのあった両校。能登半島地震発生時、春日丘高校ラグビー部の宮地真監督が真っ先に思い浮かべたのが「日本航空高校石川」だった。被害状況を知った宮地監督は、春日丘高校を付属に持つ中部大学に、「日本航空高校石川」ラグビー部の支援を提案。
「たまたま北信越大会(新人戦)が長野の飯田で行われるのを聞いて。恵那の研修センターがすぐ隣なので、北信越に向けて過ごしてもらうことはできないだろうかと提案しました」と提案の経緯を話す。宮地監督の提案は実現し、日本航空高校石川ラグビー部は、岐阜県・恵那市にてようやく練習を開始できることとなった。
練習はおろか、チームで集まれない日々が続く
石川県輪島市にある「日本航空高校石川」。選手達は大みそかに花園で解散し、実家などに帰省していたため、無事だった。しかし発災後、学校は自衛隊や総務省の前線拠点へ。練習はおろか、一度もチームで集まれない日々が続いた。
地震発生時、関東の親戚の家に移動中だったという、輪島市門前町出身の小林静太郞選手。自宅に戻ることができたのは先月末だった。石川県の様子について、「木造の家が多いので、崩れてしまい、避難所で過ごしている人がいたり、水はまだ断水で使えないです。近くの公民館でトイレの流したりする水や、プールに水があるので定期的にくみに行っていました」と話す
小林選手。新チーム結成のタイミングで練習ができないチームに、手を差し伸べたのが、春日丘高校を付属に持つ「中部大学」だった。
石川県の人々に勇気と笑顔を与えたい
春日丘高校の選手達も、ライバルの状況が気になっていた。春日丘高校・鬼頭慶選手は「友達もたくさんいて、寮の方大丈夫かなと」と当時の様子を振り返る。また、川島大虎選手は、「被災して大変だったと思う。体が大きくなってく同学年の子達を見て、自分たちも強くならなきゃって思える存在です」と、ライバル達の成長が練習への活力となっていた。
中部大学と春日丘高校のサポートで、1か月ぶりに集まった、日本航空高校石川の選手達。日本航空高校石川・上野魁心選手は、「いつ(練習を)再開できるかなと、わからないとこも多かったので、いつ再開してもいいように自分でできることをずっとやってました。震災を受けてすぐ声をかけてくださって感謝しかない。石川・輪島の代表として、自分たちが頑張って結果を残して勇気とか笑顔とか与えられたらいいと思います」と意気込みを語った。
日本航空高校石川は、10日から始まる新人戦の北信越大会に出場予定。勝ち進めば全国大会で、春日丘高校と対戦する可能性も。“ライバル”からのエールを受け、北陸の強豪校が全国大会にむけてスタートを切った。