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「パリ五輪へ必ず行く」豊田市出身・山本有真選手、“激戦必至”陸上最終選考会へ

2024年6月20日 10:14
「パリ五輪へ必ず行く」豊田市出身・山本有真選手、“激戦必至”陸上最終選考会へ
山本有真選手

パリオリンピック出場を目指す、愛知県豊田市出身の山本有真選手。残る切符は最大2枚。“激戦必至”といわれる最終選考会へ挑む、有真選手を取材しました。

残り2枠!激戦必至の女子5,000m

今月27日より、陸上のパリオリンピック最終選考会となる日本選手権が始まります。名だたる選手たちが出場することから、“激戦必至“といわれる女子5,000m。先月、田中希実選手が派遣標準記録を突破しすでに内定、残るオリンピックへの切符は最大2枚となりました。

「日本選手権で3位以内に入るのが条件。パリ五輪、こんなに世界大会に行きたいと思ったのは初めてのことなので…」とオリンピックへの思いを語るのは、山本有真選手。これまで、中京テレビ「キャッチ!」でも何度も取材してきた、愛知県豊田市出身の選手です。

大学時代は駅伝にて、大学女子長距離界を引っ張るエースとして活躍。数々の記録を残し、名城大学の6連覇に大きく貢献しました。大学卒業後は、さらなる高みを目指し、千葉県を拠点とする実業団チーム「積水化学陸上部」に所属。「このチームに入ってからパリ五輪を目指せるかもという、ワクワク感をもらっているので」とチームへの思いを話します。

オリンピック出場は家族への“恩返し”

そんな有真選手の才能を高く評価しているのが、所属チームの野口英盛監督。「彼女のスピードは武器なので、そこに特化した練習で彼女の良さを引き出したなかで戦うのが一番いいと思う」と、有真選手の強みについて話します。

実業団1年目で、いきなり日の丸を背負うと、国際レースにて次々と結果を残してきた有真選手。「2月のアジア室内で3位以内に確実に入って、パリ五輪出場のためワールドワンキングのポイントを稼ぐことが先の目標。そこで3位以内に入れば、第一関門の世界ランクでターゲットナンバーに入ってくる」と2年目への思いを語っていました。

今年2月、アジア室内3,000mで見事優勝。現在、パリ五輪女子5,000mワールドランキングにて、日本人2番手にランクインしています。

そんな有真選手がパリオリンピックを目指すのには、2つの大きな理由がありました。

1つ目は、有真選手が3歳の時、病気で亡くなった母・初子さんの存在。
「自分が走れているのは、お母さんのおかげとずっと思っている」と、母への感謝の気持ちを示す有真選手。脊髄の病気を患い、車いす生活をしながらも、自分を生んでくれた母のため。「命がけで生んでくれたことを無駄にしないように、恩返しできたらいいなと思います」と語ります。

そんな有真選手を20年間育ててきたのが、いつも応援に来てくれる大切な家族。「パリに連れて行きたいですね。家族みんな」と、オリンピックへの意気込みを話しました。

恩師が明かした“意外な理由”に照れ笑い

パリオリンピックを目指す、もうひとつの理由。それは、恩師である名城大学・女子駅駅伝部の米田勝朗監督と行ったトークイベントで明かしてくれました。

「私が見てきた選手の中でちょっと衝撃的だったんですけど…」と、話を切り出した米田監督。「え!何ですか?怖い怖い」と焦る有真選手の前で明かしたのは、彼女のお茶目な一面が垣間見える可愛らしいエピソード。

「何のために走っているんだ?と聞くと、普通は"日の丸つけて世界で戦いたい"とか、"強いアスリートになりたい"というじゃないですか」と他選手の話を例に挙げる米田監督。続けて、「(有真選手に)何のために走っているんだ?と聞くと、“駅伝とかでがんばって区間賞とか取ると、「有真ちゃんかわいい」ってSNSのフォロワーが増えるんですよ。それを見るとうれしくなって、またがんばろうと思います"(と答えるんです)」と、有真選手の“もうひとつの理由”を明かしました。

実際、有真選手のインスタグラムのフォロワー数は、陸上界では異例の5万人超え。有真選手の周りには、いつも陸上をやっている若いファンたちが集まっています。

米田監督の思わぬ暴露に照れ笑いを浮かべながらも、話を続けた有真選手。「もちろん日の丸をつけたいし、パリ五輪も目指しているんですけど、出たいだけじゃなくて、出てみなさんに喜んでもらいたい、応援されたいという思いの方が大きい」と、オリンピックを目指す理由について話しました。

今月27日に最終選考会「自己ベストを発揮したい」

今年3月、パリへの切符を手にするため、宮崎県で強化合宿を行っていた有真選手。しかし、その姿にいつもの走りが感じられません。その様子を見た野口監督が、いったん練習メニューを変更。実は去年から続いていた、右足の後脛骨筋の痛みが悪化していたのです。

「足の痛みがいま強い状況があって…。予定では、宮崎合宿で練習を積むはずだったけど…」
満足に走れない。もどかしい日々が続きました。

今年4月、今シーズン国内での最初のレースに出場した有真選手。足の痛みをおして出場しながらも、早くも2周目で外から仕掛けます。その後も、持ち前のスピードをいかし快走。そのまま2位以下を大きく引き離し、ぶっちぎりの優勝で初戦を飾りました。

しかし、レース終了後、有真選手からは「全然ダメです」という言葉が。「本当はもっといいタイムを狙っていて。1人で押す展開になって、自分に負けてしまった部分があります。まだまだ練習不足だなと思いました」とレースを振り返りました。

その後、足の負担がかかるレースを減らした有真選手。もう一度、自分の走りを取り戻すため合宿に専念しました。

パリオリンピック最終選考会となる日本選手権には、強力なライバルたちが出場予定。同学年で2大会連続出場を目指す廣中璃梨佳選手、今シーズンから絶好調の走りを見せている樺沢和佳奈選手、さらに名城大学の先輩で世界選手権マラソン代表の加世田梨花選手など、名だたる選手たちがオリンピックへの切符を狙います。

まさに、激戦必至の女子5,000m。残り2枚の切符を手に入れ、陸上の主会場「スタッド・ド・フランス」のトラックに立つのは誰なのか。

有真選手は、「支えてくれる人や応援してくれる人たちがいる。パリ五輪、こんなに世界大会に行きたいと思ったのは、初めてなので、日本選手権では自己ベストのパフォーマンスができるよう合わせていきたい」と意気込みを語りました。

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