畑でコメを栽培 荒れた農地の再生につなげる挑戦 その味は?
畑で育てるのはコメ。水稲に対して、陸稲と呼ばれる珍しい栽培に福井市内の農家が挑戦しています。コメの需要が高まる中、荒れた農地の再生にもつなげようという挑戦です。
■記者
「黄金色に色づく季節はずれの稲穂 栽培しているのは水田ではなく畑」
畑でコメを栽培する陸稲に挑戦しているのは福井市の農家阪井嘉隆さんです。およそ1ヘクタールの畑では、コンバインを使ってひとめぼれの稲刈りが行われました。
■阪井嘉隆さん
「苗作りが無い分、省力化 水管理がない分楽」
今年6月に種を直にまいた畑には、およそ1か月で背丈が15センチほどになった稲が育っています。
畑でのコメ栽培で課題となるのは雑草の駆除と「水」です。
畑にはきちんとした給排水の設備がなく、給水は雨水頼み。種にあるものを付着させて、根から水分の吸い上げを促します。
■阪井さん
「種に菌を付着させて、性質を変える 土の養分を吸い上げやすくする」
ここは山あいにある休耕地。コメ作りはもちろん、麦やそばの栽培にも適さない農地でした。
■阪井さん
「毎年作る人がいなくなって、空き地になっていたのがもったいなくて こんなところで本当にできるのかと、地区の人が悩むのは水管理が大変だから 栽培が出来たらいいなと」
9月上旬、コメになる穂が現れます。こうした成熟時期は水が必要となります。
■阪井さん
「登熟期で水稲は水を入れたり抜いたりする時期。水がないものの、大丈夫そう 根が毛細血管のように広がる」
畑での栽培で、田起こしや育苗などの作業や水管理の手間が省けた一方、課題も見つかりました。
■阪井さん
「イノシシやシカにやられたのがなければ普通に取れたかな イノシシやシカで8割減 栽培としてはこれでいける イノシシや鳥獣害がなければ」
一定の手応えをつかんだ畑でのコメづくり。気がかりなのは「味」です。生産者のグループが試食してみました。
「もちもちしている うまい これだけもちもちしているから悪くない」
農家の高齢化で荒れた農地が増える中、畑でコメを作る画期的な取組み。
コメの需要が高まるいま、農地を再生する新たなコメづくりが始まっています。