【特集】進んだハード面の整備 足羽川ダム建設 計画から半世紀以上、かつては反対運動も <福井豪雨から20年>シリーズ③
福井豪雨から18日で20年。あの時、人々はどう命を守り、教訓にしてきたかを考えます。シリーズ「福井豪雨から20年 あの日の記憶」。3回目は豪雨をきっかけに進んだハード面の整備。その象徴とも言える足羽川ダム建設の動きは最終段階に入っています。
■劇団「ババーズ」劇中音
「じいさんに先立たれたら、うらもう生きていかれんわいの。愛しているよ、じいさん」
2001年に福井市美山地区のおばあちゃんたちで結成された劇団「ババーズ」です。メンバーたちも福井豪雨で大きな被害を受けました。
■元ババーズ 島田富子さん
「田んぼまでダーッと。耕運機、トラクター、全部いってもた。ひどいもんやわね、水っちゅうのは」
メンバーの島田さんは自宅の被害こそ免れたものの、見慣れた風景は一変しました。
■元ババーズ 島田富子さん
「足羽川、ひどかったね。どこに田んぼあるか、分からんわの」
■リポート 川島秀成キャスター(当時)
「あそこは片側1車線ずつの道路になっています。その先に集落が3つありますが、完全に孤立しています」
当時の美山町では、足羽川沿いの6つの集落で一時およそ400人が孤立。想定を超える大量の雨を川が受け止めきれなかった結果でした。
足羽川ダムの計画が持ち上がったのは、今から50年以上前。住民の反対運動などもあって、計画は進みませんでしたが、そんな中で起きたのが福井豪雨でした。
■住民(当時)
「ダム反対している人もいるけど、こういう水害に遭うと、やっぱりダムのありがたさが分かるんでねえんけ」
■リポート 川島秀成キャスター
「大野市の真名川ダムです。当時、ここ大野市にも福井と同じぐらいの雨が降りましたが、下流にはほとんど被害はありませんでした。上流にこのダムがあったからです」
豪雨をきっかけにダムの重要性が再認識され、計画は一気に動き出しました。
■国土交通省 足羽川ダム 工事事務所 橋爪翔所長
「ここがダムの本体です。271メートルと書いてある所まで上がります。(この右側がダム湖ですか?)そうです。雨が降った時に貯まるのが右側です」
4年前から本体工事が始まった足羽川ダム。普段は水を流し、大雨が降った時のみ貯める洪水調節用のダムで、高さはおよそ96メートルと国内最大のスケールです。
■国土交通省 足羽川ダム 工事事務所 橋爪翔所長
「サンドーム100杯分の水が貯められることになりまして、その分だけ下流の水位が下がる」
■橋爪所長とのやりとり
「(Q.黄色いものが移動していますが?)コンクリートを運んでいます」
山奥までコンクリートを運ぶのではなく、現地でコンクリートを作ることで工事の効率化も図っています。
■橋爪所長とのやりとり
「なかなかすごい風景ですね」
「大規模事業じゃないと見られない現場です」
現在は昼夜を問わず、およそ300人が作業にあたっていて、2029年度の完成を目指します。
■国土交通省 足羽川ダム 工事事務所 橋爪翔所長
「1日でも早く完成させて、地域の皆さんに安全安心の効果の発現ができるように、全力で取り組んでいます」
流域住民の命と暮らしを守るために。豪雨を教訓に進んだハード面の整備も最終段階に入っています。