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指で触れる時計・雨粒の音を軽減する傘「インクルーシブデザイン」で誰もが快適な世の中に 福岡

2024年2月28日 17:59
指で触れる時計・雨粒の音を軽減する傘「インクルーシブデザイン」で誰もが快適な世の中に 福岡
大丸で「インクルーシブデザインでつながる未来」

障害のある人、そうでない人、また高齢者など、さまざまな人のニーズに考慮したデザインを「インクルーシブデザイン」といいます。そんな、誰の生活にも役立つ商品を紹介するイベントが、28日から福岡市のデパートで開かれています。

「インクルーシブデザインでつながる未来」と題して、大丸福岡天神店で28日始まったイベントでは、15の商品やサービスを展示・販売しています。

■元木寛人フィールドキャスター
「こちら、ガラス製のグラスに見えますが、落としてしまっても大丈夫。シリコンゴムで作られているんです。」

誰でも安心して使える割れないグラスに、視覚障害のある人の意見を参考に開発された腕時計は、文字盤や針の先端を触り指先の感覚で時間が分かります。

会場に並ぶ商品は、障害のある人や高齢者などさまざまなニーズに対応し、すべての人に便利というのが特徴です。

また特設会場で行われていたのは、百貨店の従業員と視覚障害がある人や肢体不自由者などで行うワークショップです。

■視覚障害のある人
「後ろ手になって空間を作ってあげる。もっと狭い場所は『横歩きになります』と言って、狭い場所が終わったら『元通りになります』と言ってください。」

■百貨店の従業員
「エスカレーターに乗ります。」

実際に買い物をしながら、足りていないサービスはないか確認します。

■大丸福岡天神店 広報・箱崎純史さん
「4月の『合理的配慮』の義務化、これに向けて百貨店としていろいろなことを見直す機会ということで、今回のイベントに取り組んでいる。」

「合理的配慮」とは、障害がある人に対し、段差の解消にスロープを使って補助することや、意思を伝え合うためにカードやタブレット端末を使うなどの配慮をいいます。

これまでの法律では、事業者は「合理的配慮の提供」について努力義務とされていましたが、ことし4月から義務化されます。

■箱崎さん
「社員の参加者からは『気づいていなかった』『新しい気づきがあった』という声が続々と上がっているので、これを4月以降の我々のサービスにしっかり生かしていきたい。」

インクルーシブデザインの商品はほかにもあります。

サイレントアンブレラという傘は、一般的なビニール傘と違い、雨粒の音が軽減されています。

■元木キャスター
「どの構造が音を吸収している?」
■丸安洋傘 常務取締役・川口博文さん
「雨傘の上に空間をあけてメッシュ生地を張っている。ここで雨音が当たったときにパサッという音に変わる。」

視覚障害のある人は、傘に当たる雨の音が大きいと車や横断歩道の音などがかき消され、不安だという相談をきっかけに作られました。

■川口さん
「今は(購入者は)視覚障害の人、聴覚過敏の人が多いが、健常者も雨の音をストレスに感じる人がたくさんいると思うので、そういう人にも徐々に広めていけたら。」

障害のある人、そうでない人、誰もが便利な世の中に向けて、このイベントは3月5日まで、大丸福岡天神店で開かれています。