【警固界隈】居場所を求めて夜の公園に集まる少年少女 「避難カフェにおいで」寄り添う女性の思い 福岡
福岡市・天神の警固(けご)公園に夜な夜な集う少年少女は「警固界隈(けごかいわい)」などと呼ばれています。家庭や学校に居場所をなくした彼らに公園のそばで寄り添う女性の思いとは。
日本最大の歓楽街、新宿・歌舞伎町の一角にある通称「トー横」には、あちこちにたむろする若者たちの姿があります。
■14歳
「学校とかいろいろ、人間関係がいざこざあって、友だちいなくてつまんないから遊びに来てる。」
■15歳
「(お金は)おばあちゃんからもらえなかったら、大久保公園に"立ちんぼ"に行ったりとか。」
居場所を求め、夜な夜なここに集う少年少女は「トー横界隈」「トー横キッズ」などと呼ばれています。
性犯罪や薬物依存などの温床とも指摘される「トー横」。そんな危険と隣り合わせの場所が、九州一の繁華街にもあります。福岡市・天神の警固公園です。
■少年少女
「13歳です。」
■15歳
「父親は虐待するタイプなんで。いつも終電とか寝てる時間に帰る。」
■16歳
「どうしよう、オレ宿ない。(家から)追い出されちゃった。」
夜の警固公園に集う少年少女は「トー横」になぞらえ、「警固界隈」「警固キッズ」などと呼ばれています。一部は、終電の時間を過ぎても公園に残り続けていました。
■16歳
「こういうところで野宿の方が、家より全然快適な子ばっかりだから。」
公園の芝生の上で朝を迎えたのは、ともに10代の3人です。家庭や学校に居場所をなくした者同士、身を寄せ合います。
Q.本当は家に帰りたい?
■少年
「親がおるけん帰りたくない。」
■15歳
「友だちがおるけん、生きていけようもん、今。」
■NPO法人ロークス・杉山佐和子さん
「おにぎりあるから、あとで食べにおいで。」
警固公園の近くで若者たちに声をかけるのは、福岡市のNPO法人「ロークス」の代表、杉山佐和子さんです。
■杉山さん
「ソファーがあると、警固キッズたちのいい寝場所になる。売春をさせてお金を得ているという噂のある人がいて、警固キッズの女の子、高校生に声をかけていた。」
杉山さんは毎週水曜日、警固公園の安全安心センターで夕方から「避難カフェ」を開いています。
「困ったときには逃げ込んできてほしい」。そんな思いで手作りのおにぎりなどを用意し、都会の陰をさまよう若者たちを迎え入れています。
■杉山さん
「いらっしゃい。」
やってきたのは、この日、警固公園で声をかけた2人です。1人は16歳で、1年間ほとんど家に帰っていないと話しました。
■杉山さん
「ばんそうこう貼らなくて大丈夫?」
■少女
「うん。」
体の傷や食事のことを気遣う杉山さん。一方で、彼女たちが抱える事情にすぐに踏み込むことはありません。
■杉山さん
「同じ境遇、悩み、苦しみを抱えた子たちで集まって、肩寄せ合ってるんですよね、彼らは。ズタズタに心が傷ついているし、大人に対する不信感もすごく強い。ここはありのままでいいんだなと、このおばちゃんにだったら話してもいいかなっていう場をつくること。」
否定せず、寄り添うこと。居場所を求めて夜の公園にやってきた少年少女に向き合うための第一歩です。
FBSでは、警固公園に夜な夜な集う少年少女の本音に迫るドキュメンタリー番組を制作しました。目撃者f「一瞬の幸せを求めて 警固界隈の“リアル”」は日曜深夜、30日(月)午前1時55分から放送です。