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悪質ホストの闇 “警固界隈”の少女は「一晩で80万円…好きだったから」“洗脳マニュアル”も存在 福岡

2024年2月29日 11:03
悪質ホストの闇 “警固界隈”の少女は「一晩で80万円…好きだったから」“洗脳マニュアル”も存在 福岡
悪質ホストの実態は

多額の売掛金を負わせ、返済のため売春をさせる“悪質ホスト”。あるホストクラブでは、女性客を陥れる“洗脳マニュアル”が存在していました。恋愛感情を利用する手法は、福岡市・中洲でも使われていました。摘発された無許可のホストクラブで大金を貢いでいたのは、“警固界隈(けごかいわい)”の少女でした。

九州最大の歓楽街、福岡市・中洲。このエリアでは、30店舗以上のホストクラブが営業しています。

■飲食店勤務の女性(21)
(1回でいくらくらい使う?)
「だいたい5万とか。日常にない空間だから楽しい。」
■大学生(20)
「1回で15・6万円。(シャンパンを)入れてほしいと言われて。会いたいと言ってくれるときもあるし。自己肯定感を上げてくれる。」

華やかで非日常を味わえるというホストクラブ。その一方で、女性客を洗脳する接客マニュアルが存在していました。「色恋・イチャ営OK。テクニック、地雷を置く」などと言った言葉が並んでいます。

■17歳
「多いときで80万円くらい。」
(どうやってお金を稼いでいた?)
「援交。」

ホストにはまリ、“闇”に身を投じていく若い女性たち。高額な金を巻き上げていく悪質なホストの実態を取材しました。

1月末、福岡市・中洲にあるホストクラブ「BAR SEED」が警察に摘発されました。警察によると無許可で、さらに、客として訪れた15歳の少女に未成年と知りながら、酒やタバコを提供した疑いがもたれています。

店から押収された接客のマニュアルには「イチャ営」など、ボディータッチなどで仲良くなる営業手法が書かれていました。客の恋愛感情を利用し、高額な酒を注文させていたと見られています。

実態を探るため、バリはやッ!が向かったのは、300以上のホストクラブが立ち並ぶ東京・歌舞伎町です。

長年、この町で悪質なホストの被害相談を受けてきた玄秀盛さんは、高額な金を巻き上げられていく女性たちを何人も見てきました。

【「地雷を置く」手法とは】

■青少年を守る父母の連絡協議会・玄秀盛代表
「これだけ優しくしてもらったことがない、怒らない、かっこいいというところにはまっていく。そこから一気に男女恋愛にもっていってm3回目ぐらいには100万円単位になっていく。マニュアルが完璧に熟成された洗脳マニュアル。」

玄さんが見せてくれたのは、あるホストクラブの接客マニュアルです。マインドコントロールのテクニックが記されていました。

例えば「地雷を置く」という言い方。“地雷”とはホストを怒らせる行為を指します。

「『他店行く女の子って最低やよね。それは担当(ホスト)も好きじゃなくなるよね』と姫(女性客)に言う」「結果、地雷をさけるため、勝手に理想の女の子になる」などと書かれています。

ほかの店に行かないよう釘を刺し、自分にカネを使うよう言葉巧みに誘導するのです。

そして、女性客の高額な支払いにつながっているのが、“売掛金”と呼ばれるホスト業界特有のツケ払いのシステムです。

通常のツケ払いは店に対する客の借金ですが、“売掛金”は女性客に代わってホストが一時的に肩代わりする仕組みです。女性客はホストに迷惑をかけないよう、あらゆる手をつかってカネを用意しようとするのです。

■玄 代表
「(返済方法は)売春になってもいいんだよって。女の子を完全に商品に見立てている。家族が見放したらもっと悲惨です。」

福岡市・天神のど真ん中にある警固公園には、夜になると自らの居場所を求め集まってくる若者たちがいます。いわゆる“警固界隈”です。

■少女たち
「頭狂ってて楽しい。」
「話せて楽しい。」

去年、この場所で私たちが出会った17歳の少女は、楽しさを求めて2年前からほぼ毎晩、公園に足を運んでいました。彼女は1月末に摘発された中洲のホストクラブ「BAR SEED」で、大金を貢いでいました。

■17歳
「楽しかったし、好きだったから。」

去年8月、彼女は客引きに誘われ店を訪れました。未成年ながら入店することができました。

そこで出会ったのが“推し”のホストです。顔が好みでユーモアもある彼に会うため、店に通うようになりました。

■17歳
(一晩でどのくらい使う?)
「多いときで80万円くらい。好きだったら一番がいい。一番カネ使いたい。」

通い始めて3か月後に2人は同居を始めました。恋人になれたうれしさの裏で、大金を貢がないといけないというプレッシャーも感じていました。

■17歳
(どうやってお金を稼いだ?)
「援交。毎日いくら稼がないといけないって考えるからしんどかった。一緒に頑張ろうねとか、頑張ったらこれこれしようねとか。自分の支えにもなっていたし楽しかったから、嫌われたくなかった、好きだったから。」

【“推し”は金払いの良い別の客の元へ】

しかし、“推し”のホストは金払いの良い別の客の元へ。同居も解消しました。時には売掛金も使い、貢いだ金額は総額100万円以上に上ります。

■17歳
(ホストにもう一度行く?)
「行くやろね、大金は使わんと思うけど行くんじゃないかな。」
(行ってしまう魅力は?)
「楽しい、それだけ。」

この福岡で、居場所を求める未成年までもが悪質なホストの“闇”に引きずり込まれています。

#ホスト #売掛金 #中洲 #警固界隈 #歌舞伎町

▼福岡の“悪質ホスト”の相談窓口
【相談全般】福岡県女性相談所 https://www.asubaru.or.jp/93009.html
【売掛金】法テラス https://www.houterasu.or.jp/chihoujimusho/fukuoka/index.html