今季一番の寒さ「ヒートショック」に注意 原因は「急激な温度差」対策は? 週末にかけて強い寒気の見込み 福岡
福岡県内は9日、各地で今シーズン一番の寒さとなりました。冷え込む時期に気をつけたいのが、急激な温度差で引き起こされる「ヒートショック」です。
8日、真っ白に雪化粧したのは、福岡県添田町の英彦山です。福岡県内は真冬並みの冷え込みとなり、9日も各地で今シーズン一番の寒さとなりました。
この時期に気をつけたいのが、特に入浴の際に起きやすいとされるヒートショックです。
暖房の効いた暖かい部屋から冷え込んだ脱衣所に移動すると、寒さに対応するため血管が縮まり、血圧が上昇します。衣服を脱いで寒い浴室に入ると、さらに血圧が上がります。その後、浴槽に入り急に体が温まると、今度は縮まった血管が広がり血圧が下がります。この急激な血圧の変化が、脳内出血や心筋梗塞の引き金にもなるといいます。
街の人たちはどのように予防しているのでしょうか。
■街の人
「お風呂に入る時に暖房を入れるようにしています。年が年なので。少しでも長生きしたいので。」
「対策は特にしていません。少し考えてみようかなと。」
福岡市西区のクリニックを訪ねました。
「ヒートショック」は、高齢者や高血圧・糖尿病など、基礎疾患がある人のリスクが高いとされますが、若い人にも注意が必要だと説明しています。
■井上さとし内科・井上聡 院長
「若い人でもお酒を飲んだ状態だと、利尿作用で思った以上に脱水が進み、熱いお湯に入ることで失神を起こし、そのまま溺死するケースもあります。若い人でも十分気をつけてほしいと思います。」
対策は、急激な温度変化を避けることです。入浴前から浴槽のふたを開けておけば、蒸気で浴室や脱衣所を暖めることができます。また、お湯の温度は41℃以下にして、浴槽に浸かるのは10分以内にしましょう。
さらに、浴槽から上がるときにもコツがあるといいます。
■井上院長
「上がる際に、熱くなった体を少しずつヘリにつかんだ状態で、まず半身浴のようにして、立ち上がる時は少し上半身を下げた状態でゆっくり行うことで、脳の虚血を防止する。」
福岡県筑紫野市にあるモデルルームを訪ねました。
■阿部まみアナウンサー
「床が冷たくないですね。」
■想家工房・上田辰也 社長
「独自の『魔法瓶断熱工法』で、床下から部屋の中の温度を一定に保つので、ヒートショック対策を含めて、床から温度を上げて暖かい環境をつくっています。」
上田さんは、母親をヒートショックで失ったことをきっかけに、15年前から研究や実証実験を重ね、断熱材で家全体を包み込む「魔法瓶断熱工法」を生み出しました。
気密性が高く床が冷えにくいのが特徴で、リビングと脱衣所の温度差はほとんどありません。
■上田 社長
「危険な家を造りたくないという思いから、こういった性能の家を造るようになりました。」
では、一般的な住宅では、どのような点に気をつければいいのでしょうか。
■上田 社長
「トイレ、お風呂、洗面所がやっぱり寒いんですよね。寒いところを減らす、温度を上げることが必要になりますので、各部屋を暖めることで温度差をなくしていくことが必要です。」
福岡管区気象台によりますと、週末にかけては一段と強い寒気が入る見込みです。
ヒートショックは高齢者だけでなく、すべての人が対策や予防を心がけることが必要です。
ヒートショックによる入浴時の事故を防ぐ対策をまとめました。
入浴前に浴室や脱衣所を暖めます。暖房がない場合は浴槽のふたを開け、蒸気で浴室や脱衣所を暖めましょう。
また、お湯の温度は41℃以下にして、浴槽に浸かるのは10分以内にしましょう。
そして、浴槽からは急に立ち上がらず、浴槽のヘリを両手でつかみ、半身浴の状態で熱くなった体を外気に慣らし、それからゆっくりと立ち上がってください。