【特集】靴も人生も輝かせる 靴磨き職人の“世界一”の技 「特別な日も、日常も」 福岡
ことし5月、福岡市の靴磨き職人が、世界大会でチャンピオンに輝きました。靴だけでなく、履く人の人生をも輝かせる「世界一の技」を見せてもらいました。
日常使いする靴に、特別な一足。どんな靴でもピカピカに磨き上げる職人が福岡市にいます。
福岡市中央区にある靴磨き専門店「ボストン・アンド・リオールズ」。職人の西上悦弘(にしがみ・よしひろ)さん(32)はことし5月、イギリス・ロンドンで開かれた靴磨きの世界大会で優勝しました。
大会は制限時間20分で、新品の靴をいかに美しく磨けるかを競います。こちらが西上さんが磨いた靴。周囲の景色が映り込むほどピカピカに仕上がっていました。そして。
■司会
「靴磨きのワールドチャンピオンは…ニシガミ・ヨシヒロ!」
2度目の挑戦で頂点をつかんだ西上さん。優勝が決まった瞬間、思わず涙しました。
■ボストン&リオールズ・西上悦弘さん(32)
「今までのお客様がかなり喜んでくれるので、ちょっとでも恩返しができたのかなと思うので、優勝できてよかったと思っています。」
世界一の技を見せてもらうべく、記者の靴を磨いてもらいました。
■西上さん
「けっこうシミとか、黒い汚れがありますね。」
■松原健介記者
「変わるものですか。」
■西上さん
「顔が映り込むぐらいには光らせられると思います。」
購入から4年以上、日頃の取材で履いていて汚れやシミが目立ちます。
■西上さん
「手の熱でクリームを溶かして、より革の中に入れていく。靴の曲線によって、どう光らせたら一番美しく見えるかなと考えて磨いています。つま先は濃い目のワックスを使って磨いたり、靴によって使うクリームは変えています。」
磨き始めて、およそ20分。
■西上さん
「完成です。」
■松原記者
「すごいですね。最初とは比べものにならないぐらい。」
黒い汚れやシミは目立たなくなり、表面はキラキラと光り、まるで鏡のような輝きを放っています。これが「鏡面磨き」という技法です。
■西上さん
「厚くワックスで膜を作ることで、より光って見えています。つま先だけ厚く塗って「はき口」にかけてワックスの厚みを少しずつ薄くしていくことで、こういうグラデーションがかかった光沢になります。」