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【特集】守りたかった大切な人 2児の母は「通学路戦士パトーラ」になった 私が変身する理由 福岡

2024年8月24日 9:17
【特集】守りたかった大切な人 2児の母は「通学路戦士パトーラ」になった 私が変身する理由 福岡
私が変身する理由

12年前、京都府亀岡市の通学路で起きた自動車の暴走事故で、姉のように慕っていた、いとこを亡くした女性が福岡にいます。交通事故の悲劇を繰り返さず、目の前の大切な存在を守るため、女性は「通学路戦士パトーラ」として今、街に立っています。

■パトーラ
「いってらっしゃい。」

福岡県大野城市の通学路で、子どもたちの安全を見守っていたのは「通学路戦士パトーラ」です。

■パトーラ
「この辺は危険が多いので、横断歩道や踏切を重点的に見ています。」

パトーラに変身していた村岡麗菜(れいな)さん(30)は、2人の子を持つ母親です。

■村岡麗菜さん(30)
「ただいま、暑かった。お利口さんしてた?」

大野城市の交通指導員として、通学路の見守りや小学校での交通安全指導をしています。

■麗菜さん
「普通に旗を持っていても、おはようございますと笑顔で返事してくれるのですが、パトーラだと普通はない光景なので、見ただけで笑顔になってくれる。それがうれしいです。」

より幅広い世代に交通安全の大切さを伝えたいと、麗菜さんは去年10月から「通学路戦士パトーラ」としての活動を始めました。

原点となっているのは、12年前に起きた交通事故です。

2012年4月23日、京都府亀岡市の通学路で、登校中の児童の列に無免許の少年が運転する軽乗用車が突っ込みました。この事故で、小学生2人が犠牲となったほか、娘の登校に付き添っていた松村幸姫(ゆきひ)さん(当時26歳)が、おなかの赤ちゃんとともに、帰らぬ人となりました。

■麗菜さん
「これが幸姫ちゃんで、これが小学5年生の私です。」

幸姫さんは麗菜さんのいとこにあたります。8歳離れた幸姫さんは、麗菜さんにとって「憧れのお姉ちゃん」でした。

■麗菜さん
「人生で初めての結婚式で、初めてウェディングドレスを実物を見て、幸姫ちゃんの身長が高くてきれいだなと憧れるような。」

幸姫さんの晴れ姿を今でも思い返すのは、麗菜さんだけではありません。幸姫さんの父親で、京都府に住む中江美則さん(61)です。時々、幸姫さんが結婚式を挙げた兵庫県神戸市のホテルに立ち寄り、幸せな思い出を振り返っています。

■中江美則さん(61)
「あの子(幸姫さん)が夢見て、ここで結婚式を挙げたいと言っていた場所。あの子にとって人生の一番幸せな瞬間やったんかなって、僕の中で思っています。」

見届けられるはずだった娘の未来。父親の心には、愛する人を突然奪われた痛みが深く刻まれています。

■中江さん
「ただ通学路をまっすぐ、ママとして一緒に寄り添ってついて行って、安全と信じ込んで歩いていたのに、一方的に無茶苦茶な無謀なやつらにひき殺された。守ってやれへんかった。今からでも守ってやりたい。」

事故の後、中江さんは、無免許運転の厳罰化を求める署名活動や、現場周辺の通学路への監視カメラ設置など、悲劇を繰り返さないための活動に取り組んできました。

その一方で、表に立って活動することで、見ず知らずの人から、ひぼう中傷を受けることもありました。

■麗菜さん
「活動していると強いなとみられることもあると思うのですが全然そうじゃなくて、京都の遺族(中江さん)も満身創痍(そうい)、命を削りながらボロボロになりながら、限界を超えてやってきている。その負担を減らすまではできなくても、できることが福岡でもあるんじゃないかなと。頑張ろうと。」

麗菜さんだからこそ、できること。母親となり、自分にも守るべき存在ができたことで、より一層、自分の役割を模索するようになったといいます。

■麗菜さん
「長男が小学校に上がることになって、いとこと同じ境遇になって、事故をなくすというのは育児の一環だなと。交通安全に関心がなかった方にどうやって働きかけていけるかなということで、楽しいイベントとしてパトーラを始めた。みんなで楽しく学ぼうというふうに伝えていきたい。」

まずは、目の前にいる家族や子どもたちを守る。通学路戦士パトーラは、麗菜さんが見つけた新しい交通安全の形です。

FBSでは、通学路戦士パトーラの活動を取材したドキュメンタリー番組を制作しました。目撃者f「私が変身する理由」は8月25日の深夜25時50分から放送です。

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