【福岡2023】16年ぶりに新たなトップが誕生 武内市長の1年を検証 北九州市
今週は2023年をテーマごとに振り返っています。26日は、16年ぶりに新たな市長が誕生した北九州市についてお伝えします。改革を掲げて挑んだ武内和久新市長(52)の1年を検証します。
厚生労働省の元官僚・武内和久市長は、ことし2月の北九州市長選挙で初当選しました。選挙戦で訴えたのは“改革”でした。
■武内和久候補(当時)
「この16年間の市政は優柔不断で、“改革”を怠ってきた16年間、すなわち失われた16年間だった。」
改革への思いは、21日に開かれたことし最後の記者会見でも聞かれました。
■武内市長
「健全な緊張感が大事だと思います。なれ合い政治からは脱却しなきゃいけない。」
武内市長の改革への思いを徹底検証します。
【老朽化対策】
■重信奈央記者
「落ちてきたのは、こちらのコンクリート片です。手のひらより大きくずっしりしています。」
就任直後に浮き彫りになったのは、公共施設の老朽化の問題です。
北九州市では小学校の校舎の壁が剥がれて児童がケガをするなど、老朽化した公共施設の外壁が落下する事故が相次ぎました。
■武内市長
「何としても市民の安全安心を守るという観点から、庁内横断の老朽化対策チームを立ち上げます。」
就任から3か月、武内市長が力をいれたのは「市民の安全安心を守る」政策でした。
市内の公共施設を緊急点検した結果、修繕が必要な施設は学校だけでも203校のうち9割近い178校にのぼりました。これらはすべて、10月までに修繕を終えています。
■武内市長
「部局横断的にやっていこう、しかもスピーディーに、そしてオープンにしていこうと。老朽化対策の先進地になる、こういうメッセージを強く、庁内にも市民の皆さんにもお届けしたかった。」
【子育て支援】
■武内和久候補(当時)
「お子さんたちが保育園に行くのも経済的に厳しい。こんな話もたくさん聞きました。」
選挙戦では時間をかけて子育て支援策を訴えました。
病児保育は4月から無料にまた第2子以降の保育料完全無償化は今月から実現しました。全国の政令市でも福岡市と大阪・堺市に次いで3番目です。
■武内市長
「やはり思いや能力のある方が、もっと社会の中で自分らしくその力を発揮していきたい、こういう思いに対しても、今回の第2子の保育料の無償化というのは意味が深いと私は思っています。」
こうした独自の政策に避けて通れないのが、財源の問題です。
■武内市長
「しっかりと次の世代への投資を行っていこうということは大きな志として持っていますので、しっかり汗をかいて(財源を)確保できるように努力していきたいというふうに思います。」
【行財政改革】
北九州市は市民一人当たりの市債残高が、政令市の中で最多です。高齢化率も最も高く、厳しい財政状況が続くと見込まれています。
■武内候補(当時)
「必要なことは聖域なき行財政改革を断行するということです。」
利権やしがらみからの脱却を訴え当選した武内市長は、市政変革推進室を立ち上げ、民間の目線を取り入れて事業の総点検を続けてきました。
■交通局の担当者
「市営バスの利用状況ですが、赤字路線が68系統84%が赤字というような状況になっています。」
■民間からの登用・堀内壮太さん
「短期的に取り得る施策と中長期でやれることが分かれてくると思うので、一緒になって分析していければ。」
就任直後の議会では、市長みずから給与の10%削減を提案しました。ただ、その一方で肝心の行財政改革の“成果”がまだ見えないという指摘が支援者からも聞かれます。
■30代
「どこに切り込んで支出を減らしていくのかという部分が正直まだ見えないかなというところが感想としてある。」
■30代
「いらないところをたくさん引っ張ってちゃんと抽出して、削減しましたっていうことを期待したいなと思っています。」
■武内市長
「年を明けて具体的な案をしっかりと出していきたいなというふうに思います。例えば老朽化の問題、若戸大橋を無料化したのはいいけれど、その間、ずっとメンテナンスする財源がなくなってしまっている。どうやってしっかりと持続可能なものにしていくのか。事業系のゴミであったりとか、水道とかそういう意見も出ています。大切にしてきた視点というのは、もう先送りしないということですね。」
市民との「対話」を重視してきたという武内市長は、改革案が批判を浴びることも覚悟しているといいます。
■武内市長
「大騒ぎになる部分も結構あるでしょう。しょうがないです、もう改革して人に好かれることはないですから。もう人に嫌われる、それでもやるのが改革の本質だと思いますので。」
改革へと舵を切り、新たなスタートを切った北九州市、来年はその中身が問われる1年になります。