高額な売掛金に苦しむ女性 中洲のホストクラブに立ち入り検査 店の独自ルールも 福岡
悪質なホストの高額な「売掛金」をめぐる問題が相次いでいることを受け、福岡県警は19日夜、福岡市・中洲のホストクラブに立ち入り検査を行いました。「売掛金」の廃止など、具体的なルール作りが求められています。
■永石莉里子記者
「いま、捜査員たちがホストクラブのビルに入っていきます。これから立ち入り検査が行われます。」
警察と福岡労働局は、19日午後9時ごろから福岡市・中洲のホストクラブに入り、風営法に基づいて料金表示や従業員名簿などを確認しました。
背景には、一部の悪質なホストクラブで高額な「売掛金」を支払うために、女性客に売春や風俗店で働くことを強要するなどのトラブルが相次いでいることがあります。
福岡県警によりますと、福岡でもことし10月末までに売掛金に関する相談が10件以上寄せられています。
警察庁は11月、取り締まりを強化するよう全国の警察に通達していて、19日夜、中洲での立ち入りでは13の店舗のうち6店で、従業員名簿の不備などの違反が確認されたということです。
「頑張っている彼を応援したくなった。あっという間に1000万円以上使っていた。」
「夜通しホストクラブにいて、ホストクラブに行かない日にはキャバクラで働いている。」
「総額1億円近くを払っていて、さすがにお金も尽きてきた。」
これらは、ホストからの高額請求に悩む女性やその家族を支援する団体に寄せられた相談内容です。青少年を守る父母の連絡協議会には、ことし7月に設立してから5か月ほどで、売掛金に関する相談が全国から250件以上寄せられています。
■青少年を守る父母の連絡協議会・玄 秀盛代表
「きょうは払えないと言ったら、いいよ、売り掛けでもと。そこから始まります。最低でも売掛金150万円、300万円を超えた時点で払えない。もっと良いバイトあるよとスカウトから紹介されて、最後、売春までいく。」
福岡で「売掛金」の実態はどうなっているのでしょうか。中洲にあるホストクラブを取材しました。
ホストの世界は、売り上げに応じて評価が決まるといいます。中には「売掛金」もホストの売り上げにカウントするホストクラブもあるといいます。
こちらの店では「売掛金」は回収できないなどのリスクもあることから、独自のルールを設けているといいます。
■ESPRINCE・美咲 蘭社長
「新人期間は絶対(売り掛けを)しない。売り上げがある人以外はしない。誰でもしていいわけではないですね。」
12月5日、東京・歌舞伎町のホストクラブの経営者が、来年4月までに売掛金を廃止する考えを新宿区に伝えました。売掛金のルールを見直す動きについて、福岡のホストクラブの社長に聞きました。
■美咲社長
「売り掛けって何十年のホストクラブ内の文化的なものだったので、ルール変更はできてもちゃんと落とし込まれるのか分からない。」
ホストからの高額請求に悩む女性などを支援する団体の代表は、法整備が必要だと訴えます。
■青少年を守る父母の連絡協議会・玄 秀盛代表
「ホスト新法みたいなものを作る動きを今やっている。25歳未満入店禁止、売掛金禁止、ホストの社員化、ワンストップ相談ができるところ。」
ホストクラブの支払いに苦しむ女性をなくすため、より具体的なルール作りが求められています。