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特集「キャッチ」Vリーグ昇格目指す女子バレー「福岡ギラソール」ムードメーカーは22歳のエース 営業職と二足のわらじ 福岡

2024年2月21日 18:25
特集「キャッチ」Vリーグ昇格目指す女子バレー「福岡ギラソール」ムードメーカーは22歳のエース 営業職と二足のわらじ 福岡
特集「キャッチ」福岡ギラソール
特集「キャッチ」です。福岡県ではことし6月にバレーボールの国際大会が開かれ、バレー熱の高まりが期待されています。そんななか、先日行われたクラブチームの大会に、国内トップリーグを目指す福岡の女子バレーボールチームが出場、仕事とバレーの二足のわらじで汗を流す1人の選手を追いました。

福岡県を拠点に活動するバレーボールチーム「福岡ギラソール」、発足からまもなく3年を迎える新しいチームです。

アトランタ五輪ビーチバレー日本代表の高尾和行監督が指揮するクラブチームで、Vリーグへの昇格を目指しています。

ギラソールの選手たちは日中働き、仕事終わりの夜や休日に練習しています。

このチームでエースポジションの「レフト」を任されているのが、22歳の田中桃香選手です。

■田中桃香選手(22)
「全力でチーム一丸となって勝てるように頑張りたい。」

長崎県出身の田中選手は、当時名門の九州文化学園高校に特待生として入学し、2年生のときから全国大会に出場するなど活躍しました。

卒業後入団したクラブチームでは、新型コロナの影響で十分な活動ができず、2021年、ギラソールの発足に合わせて移籍しました。

身長170センチと、スパイカーとしては小柄ですが、全日本の経験を持つコーチの松浦麻琴さんは大きな期待を寄せています。

■松浦麻琴コーチ(37)
「攻守ともにすごくバランスが取れた選手で、一番見ていて安心する選手かなと思います。」

■社長秘書・大熊亜希選手(34)
「頼れる、攻守ともにすごい選手だなと思います。」
■エステティシャン・野﨑満月選手(22)
「常に冷静に周りを見られるプレーヤーなので、自分が焦った時も頼りになる存在。(Q.コートの外は?)明るいですよ。いつも歌っています。」
■田中選手
「歌ってないわ!」

田中選手はサニクリーン九州の営業所で働いています。

■田中選手
「『ふー』ってするところも撮られるんですか?」
■職場の人たち
「あははは。」
■田中選手
「『ふー』もできん。」
■職場の人たち
「せーの!」
■田中選手
「ふー!」

■職場の人
「会社のムードーメーカー的存在で、みんなから愛される。かわいい、かわいいでしかないです。」
「抜けてるところもあるんですけど、それでも笑って応えてくれてかわいいなと。」

“愛されキャラ”の田中選手が担当しているのは、マットの配送などの営業です。毎日午前と午後、あわせて30件近く訪問します。

■サニクリーン九州 城南営業所・福澤正樹 所長
「疲れを見せることなくみんなと一緒に同じように出社して、同じように仕事してくれているので、そういう意味ではすごい。」

夜、仕事を終えると、その姿は体育館にありました。同じように仕事を終えて集まったチームメートとおよそ3時間、汗を流します。

ふだん仕事が終わるとすぐに練習にかけつける田中選手に、ゆっくり話を聞く機会がなかなかありません。この日は監督の店に来てもらいました。お酒は苦手で、飲んでいるのはピーチジュースです。

仕事とバレーボールの両立で過酷な日々を送っていますが、そんな生活を続ける理由を聞きました。

■田中選手
「シンプルにバレーが好きなんだと思います。(Vリーグに行けば)自分たちより強いチームばかりで、そのチームと試合ができることが楽しみ。」

高みを目指す一方で不安も口にします。

■田中選手
「試合で結果を残してVリーグに行っても、もっと結果出すのは難しいと思う。結果、不安もありながら。」

結果をよりシビアに求められる世界で、これまで通りバレーボールを楽しめるのか、不安といいます。

先週末、全国出場をかけた“地域リーグ”が始まりました。5チームが総当たりで対戦し、上位2チームが全国へと進みます。

初戦は、職場の仲間、さらに長崎から家族も応援に駆けつけるなか、田中選手はスタメン出場を果たします。

ところが、第1セット、第2セットと連続で奪われ、追い込まれます。第3セットは1点を争う熱戦です。

田中選手のスパイクなどでくらいつきますが、勢いに乗った相手を止めることができず、ストレート負けでした。

■田中選手
「出だしから自分たちのバレーが全然できていなかったので、あした、きょうの分も取り戻せるように頑張りたいと思います。」

全国大会出場へあとがないギラソールは、2戦目ではスタメンを変更し、田中選手はリザーブとしてベンチスタートです。

第1セットでは、チームは序盤からリードを奪います。たたみかけたい場面で田中選手がコートに入り、4連続ポイントなどで第1セットを先取しました。

その後、セットカウント2対1となり、ギラソールのリードで迎えた第4セットです。田中選手のレシーブで攻撃のリズムを組み立てるなど、チーム一丸となって勝利をつかみました。

■田中選手
「(チームの勝利おめでとうございます。)ありがとうございます。」

重要な一戦でのスタメン落ちに悔しさがにじむ田中選手の視線は、すでにその先へと向かいます。

■田中選手
「来週、あと2戦残っているのでそこを勝ちきって、3月の全国大会に絶対行けるようにチームを支えられるように頑張っていきたいと思います。」

チームが目標に掲げるVリーグ昇格へは道半ばです。夢や憧れとともに不安や葛藤とも闘いながら、22歳のいまを駆け抜けます。