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独自の救急車開発巡り…百条委“寄付金還流”と指摘 福島・国見町

2024年7月10日 19:20
独自の救急車開発巡り…百条委“寄付金還流”と指摘 福島・国見町

国見町が進めていた独自の救急車の開発事業をめぐり、町の議会の百条委員会は「事業は公平公正ではなかった」とする報告書をまとめました。
一体、国見町で何が起きているのでしょうか。

10日、福島市で会見を開いたのは国見町の町議会議員。
「百条委員会」と呼ばれる自治体の事務の調査権を持つ、特別委員会のメンバーです。
■百条委員会のメンバー
「公平公正な入札であったと我々は判断することはできないと結論付けました」

事の発端は、町が進めていた独自の救急車を開発し、リースするという事業計画。
その財源は4億円あまりで、企業版ふるさと納税で寄付されたものでした。

この事業を請け負ったのが、宮城県の企業「ワンテーブル」。
ただ当時の社長が「行政機能をぶんどる」といった不適切な発言をしたなどとして、町との信頼関係は破綻。事業は中止となりました。

ところが、この救急車。すでに納車されていて、伊達消防本部などに寄贈。なかには、町と企業が契約を結ぶ前に製造が始まっていた救急車もあり、事業の進め方が問題視されていたのです。

こうした問題を受け、議会は百条委員会を設置し、契約に関わった企業や町長などを喚問し、調査を開始。

その調査結果が報告書として10日公表され、百条委員会は「公平公正な事業ではなかった」などと一連の問題に結論を出しました。

そのうえで会見に臨んだ百条委員会は、この問題の「金の流れ」について不自然な点が多すぎるとしています。

それによりますと、今回の問題。

IT大手「DMMグループ」が町に企業版ふるさと納税で寄付をすると、町はそれを原資にワンテーブルに事業を委託。

委託された「ワンテーブル」は「DMMグループ」傘下の救急車などを手がける企業に製造を依頼していたということです。

企業版ふるさと納税は、企業にとっては税の控除が受けられるメリットもあり、百条委員会は、こうした金の流れを「寄付金還流システム」と指摘しています。

きょう、議会を傍聴し、一連の経緯を聞いた国見町民は…

■国見町民は
「町側の考え方がよくわからない」
「トップはトップなりに今回の問題に対する責任をとる、その責任はやはり辞任ということ。」
「議会でハンコ(採決)してるから」「どういう意味でハンコ(採決)して、こうなったのかも我々はわからない」

町はこれまでに「事務の進め方に問題はなかった」としていて、国見町の引地真町長は「今後同様の事態が発生しないよう対応していく」などとコメントしています。

ただ、町民の信頼を揺らがす事態となった今回の問題。百条委員会は町長に「自ら出処進退を決断すべき」としています。