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【山間の集落に52年ぶりの赤ちゃん誕生】金山町に移住して出会った夫婦の素朴な日々

2024年1月30日 16:23
【山間の集落に52年ぶりの赤ちゃん誕生】金山町に移住して出会った夫婦の素朴な日々

福島県内でもっとも高齢化率が高いとされる奥会津の金山町の話題です。山間部の小さな集落に2023年に52年ぶりに赤ちゃんが誕生しました。地区の人たちに見守られ、すくすくと成長しています。

赤ちゃんが誕生したのは金山町の太郎布地区です。奥会津の山の中にあっても、さらに「奥」と言っていいほどの場所にあり、冬場は5世帯が暮らしています。そのうちの1世帯が青沼さん一家です。夫の大さんと妻の恵美子さん、そして2023年11月に産まれた愛くるしい女の子が地区待望の赤ちゃんです。
■近くに住む八須友磨さん
「おじゃまします。」
太郎布地区で赤ちゃんが生まれたのは実に52年ぶりです。かわいらしい隣人に地区の人たちもメロメロ。
■八須 友磨さん(31)
「この集落にも赤ちゃんがいるんだって、今までなかったですもん。赤ちゃんがいるなんて、大人しかいない。」
■青沼 恵美子さん 41歳
「みんなが来てくれて、玉來を見て、その後お茶してして…そういう声とかも聞こえて…幸せだなというか。」

生まれてきた女の子の名前は玉來(たら)さん。木々や人々に恵まれた太郎布地区をイメージして名付けました。
■青沼 恵美子さん(41)
「太郎布で産みたいなっていうのが一番あって、安心できる。」
母親の恵美子さんは玉來ちゃんを自宅で出産。2023年11月3日午前6時半に誕生しました。助産師は群馬県から来てもらったそうです。
■ 恵美子さん
「小さいなっていうか、本当に出てきたって、ありがとうって思いましたね。」

恵美子さんは神奈川県の出身でからむし織を学ぶため昭和村に移住し、夫の大さんと知り合いました。
一方、夫の大さんは山梨県の出身で、全国を渡り歩く中で金山町の自然や人に魅かれ、3年前に移住し奥会津にやってきました。
今は空き家をリノベーションし、自ら焙煎したコーヒー豆を販売するなどして生計を立てています。

その暮らしは素朴ですが、生きる喜びにあふれています。
夏は、白菜や大根などを育て近所の人たちからは食材のおすそ分けもあります。調味料や納豆などを除けば、ほぼ自給自足の生活です。

ちなみに、この日のお昼ごはんは…
■恵美子さん
「これは『せんばん』っていうこの辺の料理、大根とニンジン炒めただけだけど、近所のばあちゃんが教えてくれて。」
地区の人たちが教えてくれたごちそうを楽しんでいました。
■恵美子さん
「優しいのはみんな一緒でね、優しいというか、いい人、よくしてくれて。」
地区の人たちの温かさが、青沼さん一家を支えていると言います。

この日、訪ねたのは…
■大さん
「こんにちは~玉來は初めてだ、キクさんち。」
■大竹さん
「初めてだ。」
同じ集落に住む大竹 キクさん91歳です。まるで自分の家族のように玉來ちゃんの誕生を喜んでくれました。
■大さんと玉來ちゃん
「どうですか?似ていますかね?」
■大竹さん
「似ている、顔形そっくりだ。」
■大さん
「そうなんだ。似ているって玉來。」
■大竹さん
「だから、騒ぎだよな『ははは』退屈しないよな。ばあだよ、ばあちゃん、お利口だなあ。」
右も左もわからない初めての子育ても、地区の人たちがいれば安心。人生の先輩として様々なアドバイスをくれます。
■大竹さん
「4か月5か月くらいになるとまた、おしゃべりもしたりして。」
■恵美子さん
「そうなんですね。」
■大竹さん
「ご飯食べるようになったら、雑炊作ってくれていたよ。いろいろ野菜、細かくして入れたりして。」
■恵美子さん
「みんなで育ててもらってるっていうか、1番ありがたいですね、安心ですね」
ただ雪深い金山町での生活は大変です。毎年自分の背丈を超える雪がふり除雪作業だけでも苦労します。それでも…
■青沼 大さん
「一斉に、木たち芽吹いてくる、それは感動というか、ここに住んでいていいことの一つですね。」
ここでしか味わえない魅力を玉來ちゃんにも感じて欲しいそうです。
■青沼 大さん
「この町だったり、近所の人の感じを受け継いで生きていってくれたらいいなと。」
■青沼 恵美子さん
「人が…すごい…なんか…家族みたいに接してくれて、ここに生まれてよかったって思ってくれたらいいなと。」