「医療的ケア児」が自立するためにできること 福祉サービスの地域格差に直面した母の思い【わたしらしく生きるプロジェクト】

日常的に医療行為を必要とする「医療的ケア児」の毎日の介助には、どうしても親の負担が大きくなる現状があります。子どもの「自立」をどう支援するのか。その課題に向き合う、広島の家族と団体の取り組みを紹介します。
板東彩さんは、5歳の双子のりくくん・りんちゃんを連れて、広島駅から新幹線でお出かけです。バギーに乗っているりくくんは「医療的ケア児」のため、自分で自由に体を動かすことはできません。
子どもたちにとって初めての新幹線です。行き先は東京で、全国の「医療的ケア児」が集まるイベントにりくくんが参加します。
■板東彩さん
「全然寝なかった。まあまあ早く起きたので(体力が)もつかなって。」
家族が暮らすのは、広島県安芸太田町です。きょうだいの趣味は、イマドキ。YouTubeを見ることです。
生まれつき、筋力の低下や呼吸障害などの重い症状があるりくくんは、2歳で気管を切開し、たんの吸引や夜間の人工呼吸器など、多くの「医療行為」を必要としています。
食べるものは、ミキサーにかけたペースト食です。
日々思い知らされるのは福祉サービスの「地域格差」です。
■板東彩さん
「何もないんですよ、福祉サービスが。第三者の人が家に来てくれたりとか。全部家族でやるしかなくって。どこに住んでいても、同じようなサービスが受けられたらいいなというのは、つくづく思うんですけど。」
りくくんのためにできること
好奇心旺盛なりくくんは、広島市東区の児童福祉施設「二葉園」に通っています。
ここでは、保育士が子どもの発達に応じて学びを提供するほか、医師や看護師が体調の変化にすぐに対応できる体制を整えています。
広島県内の「医療的ケア児」はおよそ500人です。小学校入学前の子どもが通う公立の施設は、5か所ありますが、りくくんのように多くの医療行為が必要な場合、母の手を離れて過ごせる施設は限られています。