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【特集】広島の老舗乳製品メーカーが協力 栄養が不足しがちな高齢者のためにつくられた「アイス」

2025年2月27日 11:14
【特集】広島の老舗乳製品メーカーが協力 栄養が不足しがちな高齢者のためにつくられた「アイス」

『わたしらしく生きるプロジェクト』です。今回は栄養が不足しがちな高齢者のためにつくられた、栄養満点の「アイス」を紹介します。どうやったらお年寄りに食べてもらえるか…アイスには、考案した若者のアイデアが詰まっていました。

広島市佐伯区のデイケア施設では、「要介護」の認定を受けた70代から90代が、リハビリに励んでいます。

昼食の時間にデザートで配られたのは「アイス」で、高齢者のための「栄養補助食品」です。

■食べた利用者は…
「アイスだから、ちょうどいい。」

このアイスを考案したのは、杉村佳南さんです。杉村さんは、医療機関に医薬品などを卸す会社に勤めています。高齢者の栄養不足を補う「栄養補助食品」の営業担当として、病院や施設を回るなかで、見えてきた課題がありました。

■ティーエスアルフレッサ 杉村佳南さん
「病院で、栄養補助食品のゼリーとかドリンクを食事があまりとれていない方にはつけられているが、結局、出されても残されているケースが多かったので。」

厚生労働省によると、65歳以上の「低栄養」の割合は、男性が12%、女性が22%にのぼり、高齢者の栄養不足が深刻な課題になっています。一般的な「栄養補助食品」は、少量で高カロリーであることから、糖質や脂質を多く含み「甘すぎる」という声が、高齢者から寄せられています。

「食べること」を「辛いこと」にさせたくない。管理栄養士の資格を持つ杉村さんが注目したのが「アイス」でした。

■ティーエスアルフレッサ 杉村佳南さん
「患者さんが、栄養をとらないといけないから補助食品をがんばって食べている。辛いのに食べている現状を知って。アイスだったら、甘ったるい栄養補助食品もさっぱり食べられるんじゃないかなって。」

杉村さんが協力を仰いだのは、広島の老舗乳製品メーカー・チチヤスです。

■チチヤス商品開発部・部長 太田志穂さん
「食べることは、人間生きていくうえで大事なことだと思っていたので。私たちが、何かお役にたてることがあればということで。」

「アイス」の栄養補助食品は、商品化されているものはほとんどありません。溶けてしまうため、病院食と同時に提供するのが難しいこと、誤嚥の危険もあることなどが理由です。

そこで、開発では「溶けにくさ」を重視しました。冷凍庫から出して20分ほどたっても水っぽくならず、ほどよいやわらかさになるように研究を重ねました。

さらに、たんぱく質の量を通常のアイスの2倍、「5グラム」含むなど、栄養素にもこだわりました。チチヤスヨーグルトならではの、さっぱりしたアイスが完成しました。

アイスは、広島市と尾道市の2つの薬局で、試験販売することになりました。薬剤師が説明したうえで、施設の職員や高齢者に1つ250円で販売しています。

整形外科クリニックに隣接する薬局では、骨を丈夫にする栄養素に注目します。

■キララ薬局五日市北口店 植野卓磨さん
「骨折予防でビタミンDも入っているので、そういうところで話をさせて頂こうかと思っております。「こんなのあるの!?」ってチラシを持って帰られる方は多いですね。」

デイケア施設も、アイスを試験的に食事に取り入れてくれました。

■平尾メディカル代表取締役 丸野文さん
「これだけ今在宅の患者さんがたくさんいらっしゃる中で、栄養と運動がとても必要なことなので、ぜひ協力したいと思いました。」

普段より食が進んだ人も多く、アイスは大好評でした。

■利用者は…
「おいしかった!人の分までほしくなる。」
「食べられないときとかちょうどいいなって思って。溶けないからね、時間たっても。」

■ティーエスアルフレッサ 杉村佳南さん
「おいしいって言葉を直接耳にすると、やってきたことは間違いじゃなかったかなって思いました。栄養補助食品は、栄養が足りていない人が、足りないから仕方なく食べなきゃいけないものみたいな感じなんですけど、「おいしいから食べたい」って自分で手に取ってもらえるような製品になっていけたら、すごくうれしいなと思います。」

【テレビ派 2025年2月27日放送】

最終更新日:2025年2月28日 7:02
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