【特集】124年の歴史がある土堂小学校が閉校 卒業生に映画監督の大林宣彦さん 「百ます計算」による教育が注目 広島・尾道市
124年の歴史を刻んだ広島県尾道市の土堂(つちどう)小学校が、閉校することになりました。映画監督の大林宣彦さんも卒業生です。また、「百ます計算」による教育が注目されたこともありました。思い出が詰まった学び舎との別れの日々を見つめました。
尾道水道を望む山の中腹に建つ、土堂小学校。窓枠が印象的な校舎は、耐震性を理由に、現在は使用されていません。
その校舎にこの日、卒業生が集まりました。閉校を前に開かれた見学会では、思い出話に花が咲きました。
■卒業生は…
「(卒業は)28年くらい前ですね。友達がカレーをこぼして大変なことになって、他のクラスからちょっとずつ分けてもらったのはいい思い出になっていますね」
■卒業生は…
「ここに来てみたら当時のいい思い出だったり、そうでない思い出もあるが、そういうのがフラッシュバックしてきて。授業に間に合わなくて、ここの廊下に立たされたこととかすごく覚えています」
屋上では、久しぶりの再会もありました。
■卒業生は…
「(昭和)48年の卒業生です。この年は、男前と美人ばかりでした」
1900年に、尾道尋常小学校として開校。現在も残る校舎は、1937年に完成しました。映画監督の大林宣彦さんもこの校舎で学びました。
子どもたちが取り組むのは、「百ます計算」です。2003年から校長を務めた陰山英男さんによる指導法です。読み・書き・計算を徹底反復する教育は、全国から注目されました。
一方、児童の数は年々減少。さらに校舎の耐震性も不十分で、2019年に尾道市教委は、近隣の小学校と統合する計画を発表しました。一部の保護者や住民からは、反対の声が上がりました。
しかし、2023年の市議会で、統合のための条例改正案が可決。2025年度から3つの小学校を統合して、「尾道みなと小学校」が開校することになり、土堂小学校は124年の歴史に幕を下ろすことになりました。
■卒業生は…
「すごく懐かしい気持ちになれましたし、(最後に)来てよかったなと思います。母校が無くなるというのは寂しいので、何かしらの形で残ってくれれば、思い出も残っていいかなと思います」
迎えた閉校の日、校歌などが刻まれた記念碑が披露されました。
続いて開かれた閉校式では、学校との別れを見届けようと、卒業生らおよそ500人が集まりました。124年の歴史を刻んだ校旗は、尾道市に還されました。
■児童代表 稲川万衣巴さん
「土堂小学校のいろいろなところに、私たちの思い出がつまっています。それはきっと、この学校に関わったすべての人たちも、同じ気持ちだと思います」
最後の日を盛り上げようと登場したのが、音楽デュオ「アラカルト」です。メンバーの鈴木庸祐さんは、尾道市出身です。
そして、土堂小学校5年生が披露した「土堂っ子太鼓」。30年以上前から代々受け継がれてきました。これが、地域の人たちに披露する最後の機会です。
■披露した5年生は…
「最高です!」
「地域の方々に、しっかりこの太鼓で感謝の気持ちが伝えられたと思います」
「新しい小学校でも太鼓とか何かの形で残ると思うから、それを引っ張っていきたいです」
1万2800人以上が巣立った、土堂小学校。母校の思い出は、1人1人の胸に深く刻まれています。
【テレビ派 2025年3月17日 放送】