海や藻場を再生させるために...海藻を食べる魚「アイゴ」を駆除しながら美味しく食べる【徳島】
徳島県美波町の海では、海藻が茂る「藻場」が減少し、漁師らを悩ませています。
その要因のひとつとされるのが、海藻を食べる「アイゴ」という魚です。
このアイゴを駆除するとともに美味しく食べて、海を再生させる取り組みが美波町で行われています。
船が、徳島県阿南市の沖合いに仕掛けられた定置網に向かいます。
(永井雅章さん(34))
「こんな穏やかな(海)ないよね」
永井雅章さん(34歳)、永井さんは、美波町の会社に勤めながら海に関するプロジェクトに取り組んでいて、この日は、隣町の漁に同行しました。
網を引き上げると、たくさんのアジの姿が...。
(漁師)
「いま入ってるのは、アジとヒラメ」
様々な種類の魚が獲れましたが、永井さんの目当ての魚ではないようです。
場所を変えて、別の網を引き上げると...。
(永井雅章さん(34))
「あらら、ようけ入っとうやないですか、いいサイズ。しかも結構でかいな」
永井さんのお目当ては、この「アイゴ」という魚。
背びれや尻びれに鋭いトゲがあるのが特徴です。
(永井雅章さん(34))
「ほら、アイゴばっかりでしょ。嬉しいですよ」
徳島県では昔からアイゴを食べる文化がありますが、ほかの魚に比べると人気がなく、漁師にとってはやっかいものだそうです。
(漁師)
「(Q.アイゴはあんまり嬉しくない?)嬉しくない、(トゲで)突かれたら痛いけん。(Q.あんまり食べないですか?)食べんよ」
アイゴは、海藻を好んで食べます。
そのため、美波町の海では海藻が茂る「藻場」が激減していて、いま問題になっています。
そうした問題を解決しようと、2023年、町の漁協や水産会社などが「藻藍部」という団体を立ち上げ、活動しています。
永井さんは、その中心メンバーです。
(藻藍部 永井雅章理事(34))
「漁業従事者の方から『アイゴ』っていう魚がたくさん獲れて、その魚が海藻を食べるというところで『磯焼け』の問題が進行してるというのを伺って、どうにかできないかなと思ったのがきっかけ」
ウミガメが上陸することで知られる、美波町の大浜海岸の周辺も景色が大きく変わったそうです。
漁師の豊﨑辰輝さんは、大型の海藻がほとんどなくなったと話します。
(日和佐町漁協 豊﨑辰輝組合長(71))
「見えてるのが小型海藻で、一部にちょっと丈の長いのが大型海藻です。昔であれば、子どもの時であれば、これ一面が大型海藻で、そのうち島もあるんですが、あの島の端はずっとぐるり50cmから1mぐらいのアラメやカジメで、貝がいても見えないぐらい密集しとったぐらいあったのが、もう全て消失して」
「磯焼け」は、地球温暖化による海水温の上昇も原因と考えられています。
水温が高いと海藻が枯れてしまったり、アイゴなどの魚が活発になって食べる海藻の量が増えたりするためです。
(日和佐町漁協 豊﨑辰輝組合長(71))
「肥料をやったり、いろんな活動をしてまして、想像ですが5%ぐらい辛うじて残ってるのを数年間は維持はできてますが、なかなか温暖化も進行してるので、ずっと維持できんかと」
アイゴの干物などを作っている水産加工会社です。
(濵宮海産 濵宮誠司代表)
「(Q.昔から食べていたんですか?)徳島は、アイゴを食べる県やけんな。(Q. どうやって食べるのが多いんですか?)だいたい煮物やね。県南の方に行ったら、冬場に鍋に入れたりしてる」
取材中、アイゴをよく食べているというお客さんがやってきました。
(町内の客)
「私、ここに嫁に来て五十何年になるけど、最初は(アイゴを)知らなんだんよ。ほなけんどもう、二~三十年前から漁師さんが多いで、獲れたらくれるんよ。いっぱいくれるでぇ。それを開いて、丸干ししたり。白身であっさりしてる、だから食べよい」
アイゴは、棲む場所や時期によって独特の臭みが強くなりますが、うまく処理すれば美味しく食べられる魚です。
(仲宗根義典記者)
「いただきます」
朝とれたアイゴを、刺身にしてもらいました。
(仲宗根義典記者)
「甘いです。ほんのりと磯の香りがしてきますね。食感は鯛と似てます、美味しいです」
アイゴは、扱いに手間がかかることから網に入ってもすぐに海に帰され、あまり水揚げされません。
永井さんたち「藻藍部」は、利用価値が低いアイゴを使って商品開発などを行い、新たな産業にしようと考えています。
これは、アイゴのすり身を使った「フィッシュカツ」。
町内のかまぼこ店が製造し、イベントなどで販売されました。
また、小松島西高校の生徒が新メニューを考えるなどして、美味しく食べられることをPRしています。
(藻藍部 永井雅章理事(34))
「商品化を進めていく上でも、今の時代にあった商品化をしていくべきだなと思って、学生のみなさんとか地域のみなさんに協力いただきながら、新商品を開発してます」
食べられなくなったアイゴを食材として有効活用するとともに、藻場を再生させるための様々な取り組みが地域の未来をつくると、永井さんたちは考えています。
(藻藍部 永井雅章理事(34))
「漁業従事者の方々の協力を得たり、地域のみなさんと一緒に問題意識を持っていただいて、美味しく食べられるんだよと。食べてみんなで磯焼けを解決していけるような、そういう取り組みを進めていければと思います」
藻藍部では、6月からアイゴの商品をホームページで販売をはじめるほか、アイゴを釣るイベントなども予定しています。
海の問題に私たち一人一人が関心を持つことが、解決への第一歩となりそうです。
その要因のひとつとされるのが、海藻を食べる「アイゴ」という魚です。
このアイゴを駆除するとともに美味しく食べて、海を再生させる取り組みが美波町で行われています。
船が、徳島県阿南市の沖合いに仕掛けられた定置網に向かいます。
(永井雅章さん(34))
「こんな穏やかな(海)ないよね」
永井雅章さん(34歳)、永井さんは、美波町の会社に勤めながら海に関するプロジェクトに取り組んでいて、この日は、隣町の漁に同行しました。
網を引き上げると、たくさんのアジの姿が...。
(漁師)
「いま入ってるのは、アジとヒラメ」
様々な種類の魚が獲れましたが、永井さんの目当ての魚ではないようです。
場所を変えて、別の網を引き上げると...。
(永井雅章さん(34))
「あらら、ようけ入っとうやないですか、いいサイズ。しかも結構でかいな」
永井さんのお目当ては、この「アイゴ」という魚。
背びれや尻びれに鋭いトゲがあるのが特徴です。
(永井雅章さん(34))
「ほら、アイゴばっかりでしょ。嬉しいですよ」
徳島県では昔からアイゴを食べる文化がありますが、ほかの魚に比べると人気がなく、漁師にとってはやっかいものだそうです。
(漁師)
「(Q.アイゴはあんまり嬉しくない?)嬉しくない、(トゲで)突かれたら痛いけん。(Q.あんまり食べないですか?)食べんよ」
アイゴは、海藻を好んで食べます。
そのため、美波町の海では海藻が茂る「藻場」が激減していて、いま問題になっています。
そうした問題を解決しようと、2023年、町の漁協や水産会社などが「藻藍部」という団体を立ち上げ、活動しています。
永井さんは、その中心メンバーです。
(藻藍部 永井雅章理事(34))
「漁業従事者の方から『アイゴ』っていう魚がたくさん獲れて、その魚が海藻を食べるというところで『磯焼け』の問題が進行してるというのを伺って、どうにかできないかなと思ったのがきっかけ」
ウミガメが上陸することで知られる、美波町の大浜海岸の周辺も景色が大きく変わったそうです。
漁師の豊﨑辰輝さんは、大型の海藻がほとんどなくなったと話します。
(日和佐町漁協 豊﨑辰輝組合長(71))
「見えてるのが小型海藻で、一部にちょっと丈の長いのが大型海藻です。昔であれば、子どもの時であれば、これ一面が大型海藻で、そのうち島もあるんですが、あの島の端はずっとぐるり50cmから1mぐらいのアラメやカジメで、貝がいても見えないぐらい密集しとったぐらいあったのが、もう全て消失して」
「磯焼け」は、地球温暖化による海水温の上昇も原因と考えられています。
水温が高いと海藻が枯れてしまったり、アイゴなどの魚が活発になって食べる海藻の量が増えたりするためです。
(日和佐町漁協 豊﨑辰輝組合長(71))
「肥料をやったり、いろんな活動をしてまして、想像ですが5%ぐらい辛うじて残ってるのを数年間は維持はできてますが、なかなか温暖化も進行してるので、ずっと維持できんかと」
アイゴの干物などを作っている水産加工会社です。
(濵宮海産 濵宮誠司代表)
「(Q.昔から食べていたんですか?)徳島は、アイゴを食べる県やけんな。(Q. どうやって食べるのが多いんですか?)だいたい煮物やね。県南の方に行ったら、冬場に鍋に入れたりしてる」
取材中、アイゴをよく食べているというお客さんがやってきました。
(町内の客)
「私、ここに嫁に来て五十何年になるけど、最初は(アイゴを)知らなんだんよ。ほなけんどもう、二~三十年前から漁師さんが多いで、獲れたらくれるんよ。いっぱいくれるでぇ。それを開いて、丸干ししたり。白身であっさりしてる、だから食べよい」
アイゴは、棲む場所や時期によって独特の臭みが強くなりますが、うまく処理すれば美味しく食べられる魚です。
(仲宗根義典記者)
「いただきます」
朝とれたアイゴを、刺身にしてもらいました。
(仲宗根義典記者)
「甘いです。ほんのりと磯の香りがしてきますね。食感は鯛と似てます、美味しいです」
アイゴは、扱いに手間がかかることから網に入ってもすぐに海に帰され、あまり水揚げされません。
永井さんたち「藻藍部」は、利用価値が低いアイゴを使って商品開発などを行い、新たな産業にしようと考えています。
これは、アイゴのすり身を使った「フィッシュカツ」。
町内のかまぼこ店が製造し、イベントなどで販売されました。
また、小松島西高校の生徒が新メニューを考えるなどして、美味しく食べられることをPRしています。
(藻藍部 永井雅章理事(34))
「商品化を進めていく上でも、今の時代にあった商品化をしていくべきだなと思って、学生のみなさんとか地域のみなさんに協力いただきながら、新商品を開発してます」
食べられなくなったアイゴを食材として有効活用するとともに、藻場を再生させるための様々な取り組みが地域の未来をつくると、永井さんたちは考えています。
(藻藍部 永井雅章理事(34))
「漁業従事者の方々の協力を得たり、地域のみなさんと一緒に問題意識を持っていただいて、美味しく食べられるんだよと。食べてみんなで磯焼けを解決していけるような、そういう取り組みを進めていければと思います」
藻藍部では、6月からアイゴの商品をホームページで販売をはじめるほか、アイゴを釣るイベントなども予定しています。
海の問題に私たち一人一人が関心を持つことが、解決への第一歩となりそうです。
最終更新日:2024年5月28日 20:52