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最後の弟子が語る美の世界 隻眼の画家「津田季穂」の作品展はじまる【徳島】

2024年9月12日 18:00
最後の弟子が語る美の世界 隻眼の画家「津田季穂」の作品展はじまる【徳島】
鳴門市で暮らし、身近なものを描き続けた画家・津田季穂さん。

15年ぶりの個展が9月12日から徳島市のギャラリーで始まりました。

津田さん最後の弟子が、その揺るぎなき美の世界を克明に語ってくれました。

(津田季穂の最後・弟子画家 八木和彦さん(65))
「右目がね、15歳の時だったか、事故で右目を失っている」
「黒く覆われた眼鏡をかけていて、白髪で一見怖いようだが、実際話してみるとこの上ない優しさが」

隻眼の画家、津田季穂さん。

栃木に生まれ、カトリックの修道士として全国放浪の末、鳴門にたどり着きました。

のちに地元の美術家集団「ベニウズ」に参加、精神的支柱となります。

津田さんにとって描くことは「祈り」にも似ています。

津田さん15年ぶりの個展が、徳島市のギャラリーで9月12日から始まりました。

これまで「ベニウズ」のメンバーが所蔵していたものや、あまり人の目にふれることがなかった作品、40点が展示、販売されています。

(ベニウズのメンバー画家 八木和彦さん(65))
「本当にいろんなことを試みていると、改めて思います」

津田さんの作風は自由そのもの。

そこに色紙があれば色紙に描く。

板があったら板にも。

描き方も自在。

油彩に水彩、ペンにパステル、色鉛筆でも。

(記者)
「こちらの安芸 野良時計という作品、推定1950年代に描かれました。厚みのある紙に色鉛筆で描かれています。作品をよく見てみますと、紙が削られ立っています」

雲の部分、色が剥げ、紙の繊維が見えています。

( 八木和彦さん(65))
「一旦色鉛筆で描いたものを明るくするのは、すごく難しい。それで紙を擦ったりして」
「自分が感じたものを表現するためには『何でもする』激しい追求が、みられるんじゃないか」
「(津田の)こんな言葉がある『ダリアやバラにはさほど驚かないが、道端に咲く小さな小さな花にこそ、神の創造の神秘を感じませんか』」
「それは遠くに探しにいかないといけないものではなく、身近な人 身近なもの身近な自然 その中にいつでもどこでも見いだせるものなんだと、伝えたかったのじゃないか」
「私が最初に津田先生のところ訪ねていった時、私が描いた石膏デッサンを持って行ったら、最初に言われたのが『私はこんな上手いデッサン嫌いです』『絵は下手でないといけない』例えば『仕上げるために描く人に褒められるために描く、展覧会に出すために描く、そんなこと思うくらいなら絵なんか辞めたらいい』と言うぐらい厳しいところもあった」

残された左目で見続けたのは、身近な小さきものへの慈しみと表現の未知なる可能性。

津田季穂展は、9月16日まで徳島市南新町のギャラリーM&Mで開かれています。
最終更新日:2024年9月12日 21:08

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