熊本は898円から952円 最低賃金引き上げで厳しい事態に直面している事業者も
7日、熊本市の大西一史市長を訪ねたのは、熊本労働局の金成真一局長です。5日に熊本県内の最低賃金が898円から952円に引き上げられたことを受けて、中小企業や小規模事業者が継続的に賃上げできる環境を整えるよう協力を依頼しました。
熊本で過去最大の54円引き上げとなった最低賃金。アルバイトをしている若者に聞きました。
■20代 大学生2人
Qアルバイト先の時給は?
「1000円です」
「950円くらいです。野菜など、一人暮らしをしているので自炊する時にスーパーに行くと値上がりを感じます」
■20代 大学生
「(最低賃金が上がるなら)扶養の限度額を上げてほしい」
一方で、事業者側は。全国にチェーン展開する鯛焼き店では、安定的にスタッフを確保するため、元々、時給を高く設定しているそうですが。
■鳴門鯛焼本舗 熊本下通店 店長
「周りのお店より(時給を)少し高くさせていただいているのがうちの売り。(最低賃金が)これ以上どんどん上がってくると、しんどい部分は出てくる。できればそこまで上げていただかない方が…というのもあります」
世界各国のビールを提供するビアレストランでは、アルバイトの時給は1000円から。最低賃金にあわせて引き上げを検討しているといいますが…。
■ビアレストランオーデン 店長
「うちは輸入物のビールが多くて、仕入れ価格が1.5倍から2倍くらい上がってきている」
輸入価格と人件費の上昇で、価格に転嫁せざるを得ない状況だといいます。
■ビアレストランオーデン 店長
「お客様には申し訳ないですが、メニューの価格も上げさせていただいて、時給に関しても商品の値段も双方が適正になるようにアレンジしていきたい」
苦しい判断を迫られる事業者も多いようです。
こうした事情を背景に、熊本市に対して最低賃金を引き上げた事業者へ新たな補助金の創設などを検討するよう求めた熊本労働局。大西市長は、「労働者の処遇改善は必要不可欠。支援策の実施の検討を重ねたい」と答えました。
熊本労働局は、最低賃金が1002円以下で30円以上引き上げる企業に対して、国の業務改善助成金の活用を呼びかけています。しかし昨年度、この助成金の申請は県内388件で、十分活用されているとはいえません。働き手の労働条件を良くするため、事業者を支える仕組みをどう整備できるか、求められています。
【スタジオ】
(畑中香保里キャスター)
熊本の最低賃金952円は九州では最低、全国でも2番目に低い水準です。それでも働く側には喜ばしい賃上げですが、業績がそこまで伸びていない企業にとっては、苦しいやりくりが必要ですね。
(緒方太郎キャスター)
最低賃金について、就任したばかりの石破首相は、2020年代に全国平均を時給1500円に引き上げる政策を掲げています。暮らしが値上げの波に追いつくように、こればかりは政治の力が問われることになります。