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TSMCが熊本に第2工場 生産能力は? 熊本建設の理由は?懸念される影響は?

2024年2月7日 19:30
TSMCが熊本に第2工場 生産能力は? 熊本建設の理由は?懸念される影響は?
台湾の大手半導体メーカーTSMCは、日本に2つ目となる工場を熊本県内に建設すると正式に発表しました。第1工場とあわせた総投資額は約3兆円。まさに「歴史的な決定」となりました。

日本初の工場を菊陽町に建設し、今年中の生産開始を目指しているTSMC。6日夜、県内に第2工場を建設すると発表しました。

■熊本県 蒲島郁夫知事
「新生シリコンアイランド九州の実現と日本経済の安全保障の一翼を担うという目標に向けて、大変大きな前進となる歴史的決定だと思います」

知事が歴史的と語った第2工場の建設発表。関係者によりますと、第2工場の建設場所は第1工場の隣接地とみられ、今年中に着工し、2027年末までの生産開始を目指すとしています。また6日は、トヨタ自動車がTSMCの子会社で工場を運営するJASMへの出資を発表。TSMCとソニーグループ、デンソーも追加の出資をします。

自動車や産業コンピューター関連など様々な用途向けに製造する半導体。第2工場では、第1工場で生産する回路幅が12ナノから28ナノメートルの半導体に加えて、より高性能の6ナノから7ナノのほか、40ナノの製品も手がけます。月間の生産能力は、300ミリウエハー換算で10万枚以上になる見込みです。

総投資額は2兆9600億円で、第1工場が1兆2700億円、第2工場は1兆6900億円に上る見込みです。さらに2つの工場で3400人以上の雇用が生まれる予定です。

第1工場の建設が順調に進んだことが第2工場の早期の建設決定につながったと語った蒲島知事。さらに。
■熊本県 蒲島郁夫知事
「周辺道路の渋滞解消に向けた取り組みなども、岸田総理から資金面の約束を取りつけたということもありますし、全ての関係市町村とも連携して操業開始に向けた整備、対応、 これが高く評価されたのでは」

TSMCの工場建設をめぐって熊本県は、道路整備や排水処理施設の整備など今後10年間で約1140億円が必要になると試算していて、政府は複数年にわたる県への財政支援を約束しています。

【スタジオ】
Q第2工場はなぜ必要で、なぜまた熊本に建設し、どんな影響があるのでしょうか。
(東島大デスク)
TSMCが発表したコメントの中の「全体的なコスト構造が改善される見込み」という部分にすべて込められています。2021年、半導体が足りないと車やゲーム機まで品薄になって大問題になりました。これは大変だとなり、この年の秋、熊本にTSMCの工場建設が発表されました。

この頃は28/22ナノのサイズの半導体を作れば良かったんです。ところが、半導体をめぐる状況はあっという間に激変しました。すぐに品不足は解消し、そのサイズの半導体自体が時代遅れになりました。それでもう少し小さいサイズの半導体も熊本の工場で作ることにしましたが、それもすぐに売れなくなりました。

Q半導体は今売れていないのでしょうか?
(東島デスク)
1月、TSMCが初めて減収減益を発表しました。この時にTSMCの副社長が言及したのが、「最新の半導体の売上の67%は7ナノ以下」ということです。それで熊本に第2工場をおいて、稼ぎ頭の7ナノ以下の最先端半導体を作ることになりました。
これは推測になりますが、今回、トヨタが資本参加したのは、車にはそこまで最先端の半導体は必要ないので、第1工場の半導体の供給先になるためでは。

Q第1工場で経済効果が10兆円と言われていますが、もう一つ工場ができたら倍になるのでしょうか?
(東島デスク)
第2工場の目的は第1工場の補完なので、単純に利益は倍になりませんが、関連企業が増えるので、飲食とか地場消費など経済効果はある程度増えます。ただそうなると、受け皿としての熊本県の体力が持つかという心配が出てきます。

Qどういう影響が考えられますか?
(東島デスク)
地下水、道路・鉄道などのインフラ、人材と土地不足の4点セットです。
地下水は、工場が2倍になれば単純に2倍使います。県民生活全般に関わってきますし、取り返しがつきません。
インフラ整備は時間との闘いです。工場を作るほど短期間では作れません。
人手不足は、優秀な人材をTSMC関連に持っていかれるだけでなく、熊本の平均給与が高騰するなど、メリット以上のデメリットを地元の中小企業に与えるおそれがあります。
これは土地も同じです。地元としてはバブルが終わったら夢の跡という惨状だけは避けたいので、次の知事の責任は重いといえます。