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1時間300円程度「こども誰でも通園制度」熊本市の制度導入の背景と現状

2025年3月27日 11:51
1時間300円程度「こども誰でも通園制度」熊本市の制度導入の背景と現状
「こども誰でも通園制度」って何?

熊本市で新年度から始まる“新しい保育制度”。狙いは育児の孤立感などの解消。制度を導入する背景と現状を取材しました。

熊本市が制度化を目指し去年9月から試行的に取り組んでいる「こども誰でも通園制度」。保護者の就労の有無や理由を問わず、生後6か月から2歳までの未就園児が保育施設を利用できる制度です。熊本市では現在、8つの保育施設で取り組んでいます。

利用料は1時間300円程度(給食・おやつは別)。利用時間の1か月の上限は10時間で、半年間でのべ146人が利用しました。制度の背景にあるのが「育児の孤立感や不安感の解消」です。

■熊本市保育幼稚園課・岩下敏和課長
「孤立化した保護者や不安を抱えて子育てをしている保護者に対しての負担感を和らげるためということ。支援が行き届かなかった家庭にアプローチできる」

渡辺舞幸ちゃん(2)です。去年9月からこの制度を利用していて、この日は2時間保育施設で過ごします。母親の幸代さん。舞幸ちゃんを預けている間に訪れたのは市役所です。

■渡辺幸代さん
「書類の申請に来たんですけど」

リハビリが必要なダウン症の長男の医療費助成の申請や、療育手帳の更新などを行いました。

■渡辺幸代さん
「(舞幸ちゃんがいると)待ち時間もじっとできないし、話もしっかり聞きたいところをいろいろ邪魔が入ったりして。一人で来られるとストレスフリーな感じ」

7歳と4歳、それに2歳の3人の子育てで時間のやりくりが難しい毎日。短時間でも子どもを預けることで家事やリフレッシュの時間を確保しています。

■渡辺幸代さん
「同じ年の子たちと一緒に会って刺激をもらって遊んでいて、ご機嫌で帰ってくる。私もスムーズに用事がこなせて機嫌良く過ごせるという形でお互いにとっていいと思う」

制度を利用し始めて、舞幸ちゃんにも変化が…。集団生活を通じて、友達とも仲良くなり笑顔も増えてきました。

■保育士
「最初のうちは泣くことも多かったんですけど、自分を出せるようになって笑顔がだいぶ見られるようになったところ」

一方、課題となっているのが「受け皿の確保」です。新年度、熊本市は11の施設で実施する予定で、1日の最大受け入れ人数は62人。利用の希望が多ければ施設を増やしたいとしていますが、保育士が不足するなか新たに子どもを受け入れるための体制を整えるのは難しいのが現状となっています。

■熊本市保育幼稚園課・岩下敏和課長
「関係団体と連携して潜在保育士の掘り起こしのための就職サポート研修会などを実施しているんですけれど、今後も効果的な確保方策を講じていきたい」

子育ての不安を少しでも和らげたい。より多くの人が利用しやすい仕組みづくりが求められています。

(緒方太郎キャスター)
制度を活用することで保育施設とのつながりのほか、時間的な余裕が生まれ時には友人と過ごすなど社会や周囲の人たちとのつながりを実感する機会となることが期待されます。一方で、受け皿の確保に向けては保育士の待遇改善などは待ったなしの課題だといえます。

県内では、この「こども誰でも通園制度」は御船町がことし7月から、芦北町が夏ごろからいずれも1つの施設で実施予定です。2026年度には、熊本市をはじめ全国の自治体で本格的に実施する見込みです。

熊本市の受付は4月1日からです。詳しくは市のホームページを検索ください。

最終更新日:2025年3月27日 11:51
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