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【低体温症に注意】冬の避難生活 身近なもので寒さ対策「目からウロコの防災術」

2024年1月25日 19:17
【低体温症に注意】冬の避難生活 身近なもので寒さ対策「目からウロコの防災術」

防災士の柳原志保さんと防災を学ぶ「しほママの目からウロコの防災術」。今回のテーマは、「冬の避難生活 身近なもので寒さ対策」です。

能登半島地震で被災した石川県では、厳しい寒さの中、今も1万6000人余りが避難生活を強いられています。(1月25日時点)
しほママも、東日本大震災で被災した際、雪が降る中、体育館で避難生活を2週間経験しました。その時に気を付けていたのが「低体温症」です。

低体温症とは、体の表面ではなく、臓器など体の中心部の温度「深部体温」が35℃以下の状態のことです。意識障害を引き起こす可能性があり最悪の場合、死に至るケースもあります。特に体力が弱い高齢者、乳幼児が要注意です。東日本大震災では、津波から逃れたにもかかわらず、避難先で低体温症によって命を落とす人もいました。

そこで今回は、冬の避難生活で体を温める方法を紹介します。大切なポイントは、「ほ・か・ほ・か」です。
▼「ほ」は体の温度を保つ保温
 防寒着、毛布、寝袋、室内履きなどが必要です。
▼「か」は温かさを加える加温
 カイロ、温かい食事、電気毛布、湯たんぽなど。

しかし、緊急時にはなかなかそろわないです。そこで、身の回りのものでできる「ほかほか」を子どもたちと考えてきました。
玉名市立横島小学校の児童もたちがまず体験したのは、電気が止まった中での避難生活です。
■しほママ
「電気をまず消してください。暖房もつかなくなります。床で寝ることになります。1分間、教室の床で寝てもらい冬の避難所を体験します」
Qどうだった?
■子どもたち
「痛い」「冷たい」

そこで、体を温めるために使ったのが新聞紙です。
■しほママ
「新聞紙を使ってどうやって体を温められるか分かる人教えてください」
■子どもたち
「スリッパにする」「毛布にする」

色々な案が出ましたが、寒い時に「4つの首を温めると体全体が温かくなる」と言われています。4つの首とは、首、手首、足首、そして、くびれ、お腹の部分です。

■しほママ(首にまきながら)
「新聞紙って柔らかいでしょ?結構形が何でもできちゃうの」
■子ども
「暑くなってきた。脱いでいいですか」
すぐに効果が出てきたようです。

続いて、こんなものも作りました。空のペットボトルにお湯を入れ、靴下で包むと、簡易湯たんぽの完成です。
■児童
「あったかくて気持ちいいです」
「何をすれば温かくなるのか分かった」

そして、暖かい環境づくりも大切です。そのキーワードが、災害時に役立つ「エネルギーミックス」です。エネルギーミックスは、よく再生可能エネルギー問題で耳にしますが、暮らしに必要な燃料を複数の方法を使って供給すること。という意味で使われます。

今回はこれを「寒さ対策」に置き換え、電気やガスがストップした際でも体を温めるために必要な3つの燃料を紹介します。
①カセットガスボンベ ②灯油 ③ガソリン

今回、子どもたちがあまり触れたことがない灯油を使った暖房器具を体験しました。石油ストーブは、東日本大震災があった時に避難所でも実際使いました。石油ストーブは遠赤外線なので、体の芯まで温まり、温かさが持続するので、本当に役立ちました。

東日本大震災を受けて開発されたのがこちらの石油ストーブ。実は、ハンドルを回転させるだけで点火できます。乾電池やマッチ、コンセントもいらないため、災害時に便利です。さらに温まるだけでなく、照明としても使えます。

続いて、私が注目したのがガソリンです。
■しほママ
「普段、車のガソリンはどのくらい減ったら入れてますか?」
■保護者
「給油ランプがつくか、自分で減っているのに気づいて、もうすぐだなっていう時に入れます」

エネルギーが不足する被災地では、暖房がきく車はとても貴重な避難場所になります。普段から、ガソリンが半分になったら満タンにすることを習慣にしましょう。

改めて、エネルギーミックスの備蓄量を確認します。
① 煮炊き、ストーブ用のカセットガスボンベ…1日1人1本、3日分
②煮炊き、明かりとしても使える石油ストーブ用に灯油をプラス1缶
③暖房、発電機として使える車のガソリンは半分になったら補充し満タンに

電気や石油に頼らないカイロなどを備えることも大事です。

今回の格言は「ひとつだけに頼りすぎない防寒対策を」です。防寒グッズもエネルギーも、ひとつのものに頼りすぎないことが非常時の選択肢を増やすことにつながります。普段使いしながら寒さ対策をしましょう。