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熊本市庁舎建て替えの賛否問う住民投票は行われず 市議会が条例案を反対多数で否決

2025年1月17日 19:08
熊本市庁舎建て替えの賛否問う住民投票は行われず 市議会が条例案を反対多数で否決
市民団体が求めた熊本市庁舎の建て替えの賛否を問う住民投票のための条例案について、熊本市議会は17日の本会議で否決しました。

■畑中香保里キャスター
「大西市長が議場に入って来ました。住民投票を行うための条例案。きょう、いよいよ採決が行われます」

庁舎建て替えの賛否を問う住民投票を求める声によって開かれた臨時議会。17日、最終日を迎えました。

熊本市は耐震不足などを理由に、約616億円をかけて本庁舎をNTT桜町ビルの敷地に、中央区役所を花畑町別館跡地に建て替える方針を示しています。これに対し、建て替えの賛否を問う住民投票を求める市民団体は1万9000人分近い署名を集め、住民投票を行うための条例の制定を市に直接請求しました。

これを受け熊本市は、14日に開会した臨時議会に条例案を提出。大西一史市長は「6年以上熟議を重ねた」と条例制定に反対の意見を述べ、総務委員会は全会一致で否決しました。

そして臨時議会最終日の17日、本会議での採決を前に、議員が意見を述べました。

■自民党熊本市議団 古川智子議員(住民投票に反対)
「市民の意思が十分に反映される住民投票とは言いがたい」

■無所属 菊地渚沙市議(住民投票に賛成)
「市民に直接賛否を問う機会がなかったことこそが、議論が長期化した一因だと考えます」

賛否が分かれる中、結果は。
■寺本義勝議長
「(条例案に賛成の議員は)起立、少数。よって本案は否決されました」

議長を除く46人の市議のうち、住民投票を行うための条例案に賛成した議員は8人。条例案は反対多数で否決され、住民投票は行われないことになりました。

■熊本市 大西一史市長
「反対の皆さんにもご理解をいただけるようにしっかりと説明をしていくことが必要だと、改めて今回の議会で受け止めさせていただいた」

一方、住民投票を求めていた市民団体側は。
■市庁舎建設の賛否を問う住民投票をすすめる会 西川文武代表
「私たちの声がかき消されたんだなというのが印象です。(今後も)おかしいところは声を上げていこうと思います」

熊本市は、今年度中に基本計画から実施設計までを業者に一括発注する方針です。

【スタジオ】
住民投票をめぐる一連の動きについて、地方行政にくわしい熊本大学法学部伊藤洋典教授は、「住民投票を求める動きがあるのは市民の合意形成が不十分だったことの表れ。法定数を超える署名が集まったのは熊本市では初めてで、大きな意義があることだった。大西市長は今回の動きを踏まえ、建て替えを進める過程で市民の合意形成に努める必要がある」と話しています。

最終更新日:2025年1月17日 19:08