熊本市電開業100周年 親しまれ延伸検討の一方で相次ぐ"安全"に関わるトラブル
開業100周年を迎えた熊本市電。1924年、熊本駅前と浄行寺、それに水道町と水前寺を結ぶ2つの路線で運行を開始しました。ピーク時の1960年には路線は7本、車両は90両、1日平均乗車数は11万人を超えました。
しかしその後はマイカー利用の増加で乗客数が減少。高度経済成長下で人件費も高騰し、赤字経営に。1970年代は採算が取れない路線の廃止などを進め、現在は2つの路線で運行しています。
一方、近年は公共交通の利用促進が進み、延伸も検討されています。現在、優先的に整備計画を進めている「自衛隊ルート」のほかにも、2015年度からは東部方面、田崎方面、南熊本駅方面の5つのルートを軸に延伸の検討が進められています。
しかし、市電には大きな課題も。今年に入って、ドアが開いたままの走行や赤信号での発車、脱線と“安全に関わるトラブル”が10件続いています。鉄道事業者や学識者らによる検証委員会がトラブル原因の調査や対策を検討しています。
城下町を走る姿が市民や観光客からも親しまれている市電。
■80代女性
「温かみがあります。熊本の市電は大好きです」
■20代男性
「路面を走っているので車と接触するような場面も増えるとは思うが、知恵と工夫で乗り切ってもらいたい」
■60代女性
「本数が最近減ってしまってし方ないかと思うけど、なくならないでほしい」
■60代女性
「熊本市電はなくてはならない、あるのが当たり前の日常です」
1日の記念式典で、熊本市の大西一史市長は「安全運行」を誓いました。
■熊本市 大西一史市長
「過去の事故やインシデントを教訓とし、決して風化させないという強い決意をお示しするために、本日8月1日を安全運行誓の日と定めます。安全を確保するとの強い覚悟を持って、安全を最優先する組織風土の構築に取り組み、安全な市電を次の100年に引き継いでまいることをここにお約束をいたします」