【深夜の発表】熊本市電 緊急工事で一部区間が始発から運転見合わせ 知らずにあわてた乗客も
熊本市電はレールに緊急工事が必要なか所が見つかったとして、15日の始発から一部区間で運転を見合わせています。前日の深夜に発表されため、運転見合わせを知らず、朝からあわてる利用客もいました。
■山本紗英子アナウンサー
「熊本市役所前です。熊本市電の軌道内でアスファルトをはがす作業が始まりました」
15日午後、熊本市役所前で始まった緊急工事。工事のため、熊本市電は水道町と辛島町で上下線とも運転を見合わせています。この区間では去年の大みそか、レール幅が基準より数センチ広くなったことが原因の脱線事故が起きました。
そして、新たに熊本城・市役所前電停付近のレールに幅の広がりが見つかり、熊本市交通局が緊急工事の必要があると判断しました。幅は最も広いところで交通局が定める基準を26ミリ超過していました。
このため熊本市電は、15日の始発から水道町と辛島町で折り返し運行しています。前日の深夜に突然決まった運転見合わせ。折り返しの電停では、職員が「乗り換え乗車券」を配布していました。
深夜の発表だったため、運転見合わせを知らなかったという利用客も。
■市電を利用 専門学生
「知らなくて、きょうは大事な学校の授業だったから、やばいとなって」
■市電を利用 専門学生
「一回、辛島町で降りて、水道町まで歩いて。ここからまた奥まで行こうとしています」
■市電を通勤で利用する女性
「本来は市役所前で降りたかったんですけど(水道町で降りた)。大変不便ですね」
レールを固定する装置のゆるみなどが原因だと推測する熊本市交通局。どうして急な発表になったのでしょうか。
■荒木敏雄運行管理課長
「昨夜にも、実際に電車を用いて(速度)10キロ以内で走行するだとかしながら、やはりでも100%安全かと言われれば、ちょっとそこは安全性が確保できないのではないか」
1月7日に異常が見つかり、点検や徐行運転をしていましたが、14日午後10時に早急な工事が必要だと判断したといいうことです。
熊本市交通局は、運転を見合わせるのは概ね2、3日を想定していて、その間、市役所南側から県道28号への車での右折などが規制されます。交通局は、他にも5か所でレールの幅が基準値を超えていたとして、今年度中に工事する方針です。
【スタジオ】
運行再開の情報は、ウェブサイトなどで公表される予定です。
熊本市交通局の対応について、交通政策が専門の名古屋大学大学院の加藤博和教授に聞きました。まず、路面電車のレールは、場所によって車やバスも通るため、そもそも負担が大きいそうです。利用客にとっては困った事態ではあるものの、前日深夜の運休の決断は、大きな事故を防ぐための「勇気がいる判断」ととらえられるということです。
今後、大切なのは日頃からの「レールの保守作業」ですが、特に地方の鉄道は人も予算も足りない状況に陥っているそうです。厳しい経営状況の中、熊本市電は運転のミスだけでなく、こうした設備の安全性にも向き合っていくことになります。