熊本県警初の女性署長「女性警察官の活躍を後押ししたい」思いに迫る
「11%」、何の数字だと思いますか?
ことし4月1日現在の熊本県警の警察官に占める女性の割合です。
警部以上の幹部警察官に限ると、1.7%とさらに低くなるんです。
そうした状況の中で3月、熊本県警で初めて女性署長となったのが菊池警察署の三宅晶子警視です。県警で女性の道を切り拓く三宅署長の思いを聞きました。
菊地神社で行われた祭りに出席していたのは…菊池警察署の署長、三宅晶子警視。
捜査一課の刑事や東警察署の副署長を経て3月、県警初の女性署長となりました。赴任してきたばかりですが、地元では“ある評判”が広まっていました。
「世良公則のファンなんですよね」
「(そのウワサ)どこから流れたんですかね」
ドラマ「太陽にほえろ」でボギー刑事を演じた世良公則さんのファンだというウワサ。果たして…その真相は?
1971年に熊本市で生まれた三宅さんは、警察の仕事に興味を持ち、熊本大学法学部に進学します。
しかし当時、熊本県警が募集していたのは男性のみ。女性の募集がある大阪など県外で警察官を目指すか迷っていましたが…大学3年の時に「熊本県警が婦人警察官の募集を始める」という情報を目にし、さっそく家族に伝えたといいます。
■菊池警察署・三宅晶子署長
「お母さん~って。だから、採用試験の内容とか時期とか資格とか、何にも知らずに受けるって決めました」
猛勉強の末、倍率40倍~60倍という狭き門を見事突破!そのモチベーションを支えたのが、あのドラマでした。
「太陽にほえろ」で世良公則さんが演じた「刑事」。警察の仕事の中でも、犯罪捜査を担う姿に憧れていました。
■三宅晶子署長
「もう砂だらけでベチョベチョになりながら逮捕するんですけど、なんかその姿に一目ぼれしてしまいまして。人情味あふれる刑事さんたちのそういうのが好きだなと思って、こういう仕事(刑事)したいなと思ってました」
県警に入った翌年には刑事になる夢を叶えた三宅さん。
Q.実際刑事になられて一目惚れしたような泥臭い場面とかありました?
■三宅晶子署長
「ありますね。あんなにかっこよくないです。さらにもっと泥臭いですよね」
男性刑事の中で仕事に励むうちに、女性として自信を感じる場面も出てきました。
■三宅晶子署長
「女性が被害にあったり、子どもが被害に遭ったりする事案に対して、被害者の話を直接聞いたり見分の立ち会いをしたりっていう時に、やっぱりこう『あなたがいて良かった』っていうようなことを言っていただいたりとか」
男性が中心だった警察の世界ですが、近年女性の役割が見直されています。
県警では、2015年は16%にとどまっていた女性の採用を2023年は32%に引き上げました。
今では署長として地域住民とも積極的に交流する三宅さん。警察学校の教官を務めたときに女性警察官の活躍を後押ししたいという思いが芽生えたといいます。
■三宅晶子署長
「優秀でキラキラした女性警察官が入ってくるんですよね。そうするとやっぱりこの子たちが将来いろんなところ好きなところに行けるように、もっともっと職域を拡大しないといけないなっていう気持ちにだんだんなってきて、そのために自分ができることは精一杯やろうというふうに、気持ちはシフトしてきた」
いまは署長として、署員が自分の仕事に誇りを持ってもらえるように思いを伝えています。
■署員
「とても頼りになる存在です。何か自分が困ったことがあったら方針とかアドバイスをいただけます」
■三宅晶子署長
「厳しさの中にも優しさがあるみたいなこと言ってほしかったな~」
■署員
「署長室に入って色々お話するんですけれど、体調とか気遣って聞いてくれたりたわいのない話をたくさんする。自分もいずれは(署長に)なれるように頑張りたいです」
若手が活躍できる環境を切り拓くことが、いまの目標です。
■署員
「署員の中では男性だ女性だっていうよりも、やっぱりそれぞれの職員の特性というのを生かせるような人事配置であったり、任務付与だったり指導だったりというのをしていきたいと思っています」
地域の安全とともに、三宅さんは後輩たちが進む道も見据えています。